17日目

調査17日目 2021年12月2日


警察内部記録:橘あかり 保護入院措置に関する公式報告書

記録日時:2021年12月2日 08:30

担当部署:警視庁捜査一課

報告者:山崎 秀明 警部補


件名: 被保護者 橘あかり 精神科病棟への隔離保護措置について


経緯:

橘あかり氏が関与した一連の事件(清明総合病院での共同行為、水元透のアパート侵入、世田谷公園暴行未遂)および、その後の極度の精神不安定状態を鑑み、自身の身体および公衆の安全を確保する必要があると判断された。


医師の診断(心神耗弱状態)に基づき、精神保健福祉法に則り、清明総合病院精神科への緊急保護入院を決定した。


措置の目的:

患者の心身の安定と適切な治療環境の提供。

関連事件の重要参考人であるため、治療期間中、警察による病棟内の継続的な安全管理および監視を行う。監視体制は24時間体制とし、通信・面会は厳重に制限される。


特記事項: 当該患者は強い自罰的衝動と逃走傾向を示すため、病室は隔離病棟とし、厳重な管理下に置くものとする。



 ◇



清明総合病院 精神科 診察記録 / 橘あかり

記録日時:2021年12月2日 09:30

担当医師:水谷 謙吾

患者名:橘 あかり(20歳)


既往歴: 2020年11月、急性ストレス障害による精神科入院歴あり。当時の身体所見では、性的トラウマを示唆する痕跡と極度の衰弱が認められている。


主訴: 「すべてを晒さなければならない」「私は穢れているから償わなければならない」


診断名: PTSD(重度トラウマストレス障害)および「特定の自罰的観念を伴う強迫性障害」。


医師の所見(詳細):

精神状態は極めて不安定。過去の被害者(遠山里奈、森葵)と酷似した、自己処罰的な露出願望と加害的な衝動が混在。

患者は、自身の「裏切り」を隠しているという強迫観念に苛まれており、「隠している部分が、私を次の贄にする」という非論理的な恐怖を訴える。

身体的特徴として、痩せ型(BMI 17.0付近)であり、過去のトラウマによる慢性的なストレス負荷が続いている状態にある。鎮静剤の投与と厳重な隔離措置が緊急に必要である。



 ◇



監視カメラ映像

記録場所:森葵の病室(302号室)

記録日時:2021年12月2日 15:45


橘あかりが病室に入る。


橘あかり:「葵!  私よ、あかり。私も、ここに入院することになったの。これで、いつでも一緒にいられる」


森葵:(か細い声で)「あかり……!  来てくれたの……よかった……待ってたよ」


二人が抱き合う、安堵に満ちた微かな音が響く。


橘あかり:「ええ、もう大丈夫よ。私がいる。呪いなんて……」


森葵:(声のトーンが急変し、粘着質になる)「違う……大丈夫じゃない。貴女も、汚れる義務がある。裏切り者……貴女は、まだ隠している……から」


橘あかり:「えっ!?」


葵があかりから離れ、自らの病衣に手をかける。


橘あかり:「葵? 何を……?」


葵は、鎮静中にもかかわらず、強い力で自らの病衣のボタンを一つ一つ外し始める音。瞳孔は開いている。


森葵:「晒さなきゃ、罪が消えない……私から、始める」


葵の病衣が床に滑り落ちる、静かな布の音。葵が下着姿となる。


橘あかり:「(驚愕と戸惑いで息を詰まらせる)え、……葵、やめなさいよ!  うそ……私、動けない……」


葵がホックを外すカチリという金属音とともにその布がふわりと落ちる。


森葵:「動けないよね。私を見て」


橘あかり:「葵……?」


森葵:(陶酔と屈辱に満ちた低い声)「貴女も、早く。隠さないで。貴女も、私の裏切りを共有してくれた罰がある」


葵はあかりの病衣を乱暴に脱がせ始める。


橘あかり:「(微かな抵抗と恐怖)嫌っ、勝手に脱がさないで! ……お願い、正気に戻って!」


葵が橘あかりの病衣をゆっくりと引き下げる、粘着質な衣擦れの音。


森葵:(恍惚とした低い声で)「貴女も……汚されなければ、完遂できない」


橘あかり:「や……め、て……」


葵があかりのホックに指をかけ、外すカチリという金属音。


森葵:(うっとりとあかりの胸を見つめる。微細な肉の摩擦音)「綺麗……貴女は、汚されてない。私の分まで、汚れて……私を償わせて」


橘あかり:「(意識が朦朧とし、吐息のような声)……ダ……メ……!  こんな……の、私……たち……の意志……じゃない……や……め……て!」


葵が、自らの裸の胸をあかりの胸に押し付ける、生々しい肉の接触音が部屋に響く。


橘あかり:「(短く、抑圧された嬌声。身体が微かに震える)あ……っ!」


森葵:(その反応を見逃さず、冷たく、そして甘く)「ふふ。可愛い。嘘つき。貴女も、晒したいのよ」


呪いの衝動が同調するように身体を重ね合う。


森葵:(陶酔と屈辱に満ちた声)「ああ……これで、貴女も贄……リナと同じ……裏切りを償って……」


衝動が最高潮に達し、次の行為に移ろうとする直前、葵の顔が苦痛に歪む音。葵の目から一筋の涙が流れ、呪いの支配から一時的に離脱する。


森葵:(極限までか細い声)「鏡……彼……彼は鏡を見ない……」


橘あかり:(ハッと息を飲む音)「……! (力を振り絞って葵から離れる)……違う!  葵、これは……呪いよ!」


あかりが自身の病衣を慌てて直す。


橘あかり:「(自らに言い聞かせるように)私は、私を、正常に保つ!  この衝動に勝つ!  私たちがすべきは、解放の儀式だからっ……!」


(音声終了)



 ◇



警察内部記録(山崎の監視ログ)

記録日時:2021年12月2日 23:50

記録部署:(非公式ログ)


記録内容: 捜査官 山崎 秀明は、非公式端末を用いて森葵病室の監視カメラ映像を抽出・確認。山崎は映像を崇めるように何度も再生した。


山崎の行為: 彼は映像を拡大し、「美しい」「この形こそが贄だ」と、陶酔に満ちた微かな声で呟きながら、病室のライトに艶めく胸の映像に異常な執着を見せた。再生記録は計15回以上。彼は端末に頬を異常なほどに近づけ、画面に映し出された「聖なる供物」を味わっているかのようであった。


山崎の手記(後に発見): 橘あかりは、葵との接触により呪いの衝動を最大限に増幅させた。もうすぐだ。彼女が「解放」という名の下に、自らの「裏切り」を晒すという最終的な儀式を開始する。「解放の儀式」を開始する瞬間を待ち、その神聖なる儀式の場で、完全なる晒しを完成させよう。



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