本作はとにかく文体が異色です。句点の数が極端に少なく、本当に詩みたいな小説です。その文体も相まって、個人的にはかなり難解な部類に入る気がします。
登場するのはセータと呼ばれる人物、記憶障害を持つ母、テレパシーを伝える“彼”、クラスメイトのカツキ、習字教室のかやさんなどなど。様々な人物の想いが交錯し、物語を創りあげていきます。
話の核となるのは謎の“彼”から届く声。“彼”はテレパシーを用いて「しりとりをしよう」と話しかけてきます。「ぼく」がしりとりに応じると、しりとり中で登場した物が周囲から続々と消滅していき、その恐怖が描かれます。
また、記憶障害の母は息子のことを頻繁に忘れてしまい、互いに苦しめられています。このあたりの心情描写が丁寧で読みごたえがある印象です。
読後感は個人的にはネタバレの範疇なので言えませんが、この物語を締めくくるのにふさわしい終わり方だったと感じます。