第5話 出会うべくして
雲隠れした月は、闇夜を照らして。
「結菜、お前さんは城守家の血筋を引き継いでしまったんだ」
「…城守家の、血筋?」
私はよくわからなかった。いきなり血筋だなんて。こんな状況なんて。
「…この惨状、全部あんたの力…厳密に言えばわいの妖力を記憶して得た力と言うべきか……つまりは、あんたには妖力を記憶する力があるというわけや。そう、考えときな」
「妖力を…記憶する…?」
「せや、かつてあんたの母親が、この地を守っていたかのように」
胸がざわついた。コタローは母を知っているんだと。
「母を知っているの?!」
コタローは、うなづいた。
「ああ、知っているとも…」
けれど、闇夜の中でどこか彼は寂しげそうで。
「ねえ!お母さんの話を、」
「無理だ、萌菜との約束なんだ…『絶対に娘には言わないで』だから。」
私は言葉を失った。どうしてそんな約束をしたのか。
母が何を思っていたのか。なにも掴めないまま、胸だけがざわつく。
「とりあえず、君は力を発現した。これから、城守家が君の命を狙ってくるようになった」
「え、城守家って…私の家系じゃないの?」
「現当主、あんたの祖母にあたる人物とあんたの母、萌菜は考え方の違いで仲違いしていた。だから、後継であるあんたが力を発現し、その力を我が物にすれば…とそいつはあんたを狙っている」
コタローの話は支離滅裂としていて、根幹が伝わってこない。でも、これだけはわかる。私はとんでもないことに巻き込まれたと感じた。これは入学式前のとある出来事、コタローの決意あるその目を一旦信じることにした。私と彼との数奇な運命は今ここで始まったといえよう。
◻︎
明くる朝、私はいつの間にか布団の中で寝ていた。コタローと話し合ったことは夢なのかと疑問に思いつつ、隣でいびきをかいて寝ている父がいて、安心した。いつの間にか帰ってきていたんだと。
ふと時計を見てみると…
8:10
私は焦った。今日は小学校の始業式。8:30までに学校に着くようにと、転入手続きの書類に書いていたのを思い出す。急いで、父を殴り起こし、朝食を済ませ、父の車で学校へ向かう。歩けば30分、車で15分と高台にある小学校で、こんなせかせかとした気分で新生活を迎えるとはと不安になりつつ、それでも楽しみさというものは入り混じっている。
ぎりぎり1分前に着き、先生の元へ向かう。鏡水村村立小中一貫校、これが私の通う学校。木造平屋で生徒数が少ない、いかにも古いといった学校だ。
「まあ、ぎりぎりアウトかしら」
優しそうな笑顔に茶目っ気ある言い方で、眉間にしわがよっている。
「遅れてしまい、すみませんでした。」
父は頭を下げ、必死に謝る。それと同時に、ごめんなさいと私も頭を下げる。
「いえいえ大丈夫ですよ、では結菜ちゃん!クラスに行きましょか!お父さんは、校長先生と少しお話しがありますので。」
父とは分かれ、担任の先生についていき、ガヤガヤとしている教室の方へ向かった。その道中で、先生からは着いてからは"私が入ってと言われたら入り、自己紹介をしてね"と忠告された。
そして、すりガラスごしの教室、6-1の看板が提げられているクラスの前に立った。先生が先に入り、
「さあ、みなさーん。今日は新しいお友達が来まーす。では、入ってくださーい」
私は深呼吸して、教室へ足を踏み入れた。あの時出会った少年もその中にいたのをよく覚えている。
「私の名前は、
男女5人という少数ながら、一際目立つほど大きな拍手でクラス中が包まれた。
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