第4話 始業式前のとある出来事


 4月に入り、始業式まであと1週間まで差し迫った頃。


 私たちの家はついにすべてを修復することができた。あんなにぼろぼろで、黒ずんでいたお屋敷が新品顔負けのように生まれ変わっていた。


「結菜、完成したぞ!これが我が家だ!」


 父は嬉しそうに、私に言う。母を亡くし、私を連れてこんな田舎に来てから、こんな晴れやかな笑顔を見せたのは初めてだ。これからの不安なんてすぐに吹き飛ばせるような。


 春風が吹き、咲き誇る花々のある庭に、二人は寝転がり、完成した我が家を見上げる。のらりくらりこれからの未来に期待を想っているところに、ふと着信音が二人の空間を引き裂くように鳴り響く。


「はい、もしもし………」


 父は身体をあげ、ポケットに入れていた携帯電話を耳元に当てる。今どきめったに使うことのない古いもので、これは社用の携帯だ。別に父はスマートフォンを持っているから。


「わかりまし………結菜、お父さん少し、仕事に出かけるよ。帰ってくるのは、かなり遅くなりそうだから、おとなしく家で待っていて」


 父はそう私に話し、庭の先に停めていた車を走らせた。父は近くのダムで働いている。だから、何かがあればと……私は不安になっている。


 それはもう時期日が暮れる黄昏時だった。


 ◻︎


 夜、辺りは灯りひとつもなく闇に包まれている。その中にぽつんと輝く一筋の光、私は前の家から持ってきたテレビをひとりでゲラゲラと笑っている。番組はどんどんと移り変わり、時計をふと見れば…


 22時


 私はそろそろ寝ようと、戸締りをしっかりして寝室に向かう。私の机、布団が二つだけあるそんな部屋に一人、寝静まる。布団に包まり、父を心配する。闇夜にひとりぽつんと、さすがに寂しい。


 早く帰ってきて……


 そう願いながら、少しづつ夢の世界へ堕ちていく。


 ガシャガシャ………


 戸締りしたはずの扉の方で物音が聞こえる。私は帰ってきたんだと思い、喜びながら布団から出る。ずっと物音は鳴り響く。鍵、忘れたのかなあと思い、玄関口の鍵を開ける。


 物音は消えた。


「お父さん?」


 おそるおそる玄関口を開けていく。そこに立っていたのは、よだれだらだらで赤目に輝いた人狼ブラザーズだった。


 私、恐怖で固まった。


「オマエヲ…クイツクス…」


 彼らが私の手を掴み取ろうとした矢先、私は抵抗して手のひらを彼らに向ける。周りの水分は一箇所に集まるの感じた。恐怖で目を瞑ってもなお、手元には濡れた手のような感触を感じた。


 私は喰われたのだろう、そう考えた私はふと目を開ける。目の前には、濡れて倒れ込んだ人狼ブラザーズがいたのだ。


「え、どうして…」


 私は不思議がると、闇夜からぺたりぺたりと近づいてくる何か、コタローさんだ。


「城守結菜、ついに目覚めちまったのか……を…」


 月は雲隠れして、見えずして。











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