第2話

「ねぇ、翠蓮。貴方、うちの学校に来ない?」

 

「………は?」

 

 翠蓮は困惑して。梅の言っている意味がわからなかった。すると朱雀が大笑いしながら

 

「良いな!それ、翠蓮。君は何歳だ?」

 

「……15」

 

「15!?」

 

「今年で16になる」

 

 翠蓮は面倒くさそうに言う。すると二人は「16!?」と驚く。

 

―――なん何だこいつら。なんでそこまで驚くんだ?

 

「なんで驚く」

 

「いや、私…18歳くらいかなと」

 

「俺も」

 

「まぁ、3年くらい変わらねぇし気にすんな」

 

 翠蓮はそう言いながら先程の火の矢で周りに燃え移っていないかを確認する。すると梅が声をかける。

 

「それで、どうなの?通ってくれる?」

 

「別に通う分にはいいぞ。任務がなかったら暇だしな」

 

「そう言ってくれてよかったわ。じゃあ、その実力は隠してね?貴方は強すぎるから、霊力も抑えられる?」

 

「元よりそのつもりだ。俺は目立つのは好きじゃねぇからな」

 

 翠蓮はそう言いながら垂れ流しの多くの霊力を平均的的な陰陽師の子供程度に抑えた。そんな翠蓮の霊力操作の精度に二人は微笑む。そして朱雀は翠蓮に正式な自己紹介をするべく口を開く。

 

「正式に自己紹介をさせてもらうよ。俺は……じゃなかった。僕は麟堂りんどう学園の教頭朱雀だよ。よろしく翠蓮くん」

 

「お、おう」

 

 そして翠蓮は梅、朱雀の連絡先を交換して二人と別れた。朱雀は帰ろうと背を向ける。すると後ろから強い妖怪の気配がした。翠蓮は即座に振り向き刀を抜き構える。その刹那、翠蓮は妖怪の不意打ちの攻撃を斬撃で相殺した。すると麦色の髪色に翠蓮くらいの長さの髪を下に括っていた。だが、その人間のような者には尻尾が9本あった。九尾だ。

 

「お前、なにがしたいんだ?さっきの奴らがいたときは手を出してこなかったくせに俺には威圧をして気づかせようとしていたよな?」

 

「うん、だって…君が強そうだからね。僕は強い人間と戦いたいんだ」

 

「……その理由は?」

 

「強くなって、僕の主君となる方と共に戦いたいから」

 

 翠蓮は予想外の九尾の答えに思わず面食らった。だが、翠蓮はここの九尾は人に優しいと言う噂を思い出した。

 

「分かった。何で戦いたいんだ?霊術?武術?それとも……素手?」

 

「いやいや、こちらから頼んだんだから自由で良いよ。でも、お互い殺さない程度にしよう?」

 

「当たり前だ。罪を犯していない奴は妖怪だろうが人間だろうが殺すつもりはない」

 

「……君は変わった子だね。僕の恩人に似てる」

 

 九尾はそう言いながら、翠蓮に微笑む。その表情に翠蓮はどこか懐かしいと感じた。それはこの九尾とどこかで会ったことがあるかのような感覚に襲われていた。

 

「そうか、その恩人と俺は気が合いそうだな」

 

「うん、合うと思うよ。だって……」

 

 と言いかけて九尾はやめて予備動作をする。それを合図に凄まじい戦いに火蓋が切られた。

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