ナイトジャグラー
空four
第1話 ジェットコースターを作ろう
息が荒くなる。当然だ。だってあの人が待っている…今日もまた、今日も。
「雷飛君!遅れてすいません!」息が…続かない。でもいつも君は椅子に座っている。大きくなった遊園地を見て。椅子がガタッと動いた。隣にはSP(ボディーガード)もいる。「よく来た。おさっちゃん。さて、年間計画を始めようか」この遊園地は永遠に不滅だ。
――――――――――――――――――――
――およそ6年前――
気温が温かくなってきた。桜はまだ開花してないが花々が綺麗に咲き誇っている。そして僕の隣にいる男は…何を考えているのか分からない。「は~~ここが俺らの私有地か~!最っ高に天気がいいな!おさっちゃん!」
「ホントデスネ~」どうしてこんな風になってしまったんだろう。隣にいる“普通じゃない男子”二階堂雷飛(にかいどうらいと)君は今まさに《遊園地》を建てようと計画している。「どこにそんなお金があるんですか?」「決まってるだろ?も・ち・ろ・ん俺のお金だ」雷飛君は“超”がつくほどの有名財閥で死ぬというほど資産がある。「おさっちゃん!!まずは入り口のゲートから作ろうぜ!」
僕の名前は小山修。雷飛君からは“おさっちゃん”と呼ばれている。僕と雷飛君は同じ大学の1年生で親友の関係だ。そんな僕には隠している秘密がある。それは…
「へへっ、あれが有名財閥の二階堂の長男…大金はしっかり俺が貰うぜ!」どっかのビルの屋上から銃口をグイッと向け二階堂の長男に向けた。勢いよく打った。
「カァァァァァン!」(カァァァァァン?何のお…)なぜかわからないが顔の横から血が出ている。意識が…
(ふぅ~危なかったぁ、鉄の資材で銃弾を防いでよかったぁ)今日もしっかり雷飛君を殺そうとしてくる殺し屋を葬った。そう僕の秘密は《二階堂雷飛の護衛》である。さっきの銃弾は鉄の資材で一気に力を加えて跳ね返し、相手にぶつけた…というわけだ。なので相手は誰か見る前に死んでいるだろう。
それにしても…この人は呑気なんだから!自分が死にそうな時くらい感知しててほしい。
「?なんかあったか?おさっちゃん」「いや、ナンデモナイデス」この秘密は雷飛君だけには守らなきゃな…。この仕事を永遠に繰り返しても雷飛君の毎月のお小遣いにも届かないなんて、少し分けてほしい。
「とりあえずゲートは後で作るとして遊園地なんだから観覧車、とかアトラクションを作ったらどうですか?」きっと遊園地を作りたい理由は気分だろう。雷飛君は毎回そうだ。
「おさっちゃんは何のアトラクションが必要だと思う?」「ん~そうですね。無難なのはやはり観覧車…やジェットコースターなどもありますね」遊園地=観覧車みたいなイメージが浮かんできたがきっとその考えは古いのだろう。「ジェットコースター!めっちゃいいじゃん!作ろうよ」「作ろうたって…イメージや支柱の原材料…ほら木製や鉄製のジェットコースターとかあるじゃないですか?」「まぁ分かんないからとりま全部つくって…」「絶対ににダメです!土地代何円かかると思ってんですか!」そこまでジェットコースターは需要あるのか?富士♢ハイ♢ンドはジェットコースターを売りにしてるらしいがそこまでコンセプトにするつもりはないな…。「みんなが楽しめる遊園地がいいなぁ」これがこの遊園地のコンセプト、目標だ。「ちなみにあと開園まで何年なんですか?」「………1年」雷飛君の口から嫌な数字が聞こえた。きっと気のせいだろう。「なんですか?大きな声で」「1年!!1年しかないの!」「やべぇじゃないですか!全部工事今から着手しても終わりませんよ!?」あと4年くらいかなとか少しでも思っていた自分を殴りたい。「そこは…!凄腕の業者をよんで半年でつくってもらうから!」「それ合法なんですかー?」不安しかないが今はそうしなければならないのかもしれない。「とりあえず、ジェットコースター決めようぜ!」相変わらずの呑気さだが確かに早さが決定打だ。「とりあえずどういうジェットコースターつくります?360度に回るやつとか…斜めに回るやつとか…色々ありますよ」「ん~全部!」「だから土地代!」少しでも負担を減らすために土地代を抑えなければならない。「…これいいじゃん」「え?」雷飛君が見たのはウェーブ型で下ったり上がったりするやつだった。「いいですけど、上がるとき遅くなりませんか?」ウェーブ型なんてそんなに見たこともない。「スピードを最大にして…国内最大級のスピードで走らせれば、なんちゃら代?とかも減るし!」確かに…雷飛君なりにはよく考えているな…むしろてっぺんにいったときに力を加えなければ少々危険だがものすごい速さで下ってくれる。いいかもしれない!「それいいですね!それならちゃんとしたジェットコースターが作れそう…あとは支柱となる原材料を決めなきゃ」「そこは銅じゃね?」「いや、なんで!?」普通に木材か鉄製じゃないのだろうか。「いや、だって金属の中では固いじゃん。しかも海からも遠いから潮風の影響を受けない」た…たしかに!!これまた一本やられた。頭いいのか悪いのかわからない。「てっきり雷飛君のことだから金とか選ぶのじゃないのかと…」「だってさ?金は金属の中で結構柔らかいじゃん!」ぐうの音も出なかった。ごもっともだ。「じゃぁ早速作りにかかりましょう!」やっと決まった。やっと…遊園地作りに着手できる。
「생명을 받으러 왔어♪생명을 받으러 왔어♪생명을 받으러 왔어♪♪」
なんだ?嫌な寒気がする。すぐに僕はポケットにある銃を雷飛君にバレないように構えた。
「あ、ごめんごめん。伝わんなかったー?さっきのは日本語で《命を貰いにきたよ》って言ったんだよ。さてぇ、二階堂君の命を貰いにき・た・よ」
また、殺し屋か…なぜこいつらは雷飛君の命をもらいにくるんだ!その瞬間、雷飛君が急に地面に滑り落ちた。いや、足から落ちた。
「あなた、何をしたんですか?」「?あーごめんごめん。遠距離型麻酔銃でちょっと眠ってやっただけだよ。安心して。さ、戦ろう?」
怒りがこみあげてくる。なぜ、御曹司家に生まれたというだけでこうも命を狙ってくるんだ…。
「絶対にお断りです。雷飛君を護るのが僕の“親友”としての仕事なんで」
銃口を彼にむけた。1発打った。
「お、いい弾じゃん。でも当たんないよ~」そういうと殺し屋はゲートに向かった。荒れ地の遊園地にものすごい速さの銃弾が飛び交う…!「来いよ、殺してやる。そして二階堂も殺してやる!!」冷静に…冷静に見極めろ。護衛しろ、ただ何も考えるな。真っ直ぐただ真っ直ぐ…
《殺すだけ》
(?なんだ?殺気が無い。こんなに気配が無いなんて…。これが護衛する立場としての責任かよ、笑えるな)
さてと、さっさと二階堂を殺して~『あの方』に献上して~アジトにある女を抱きまくって~それから…それか―――
1発殺し屋の腕に銃弾をめり込ませた。霧のように気配を消して。「お、お、お前、バケモンかよ!?あーだから護衛者は嫌いなんだよ!さっさと消えちまえよ!」
もう、相手の感傷に浸るのはやめよう。時間の無駄だ。ただ、護れ、何も考えるな。体を横にしながら1発肺に打ち込んだ。肺は急所になりやすく、脅迫にもなりやすい。怒りを込めてほんの1発…!
――よし、麻酔の解毒ができた。これで雷飛君は目を覚ますだろう。さてと、腕の傷をどう隠そう…。半袖なんだよな、今日温かいから。
「あ…れ?俺眠ってて…おさっちゃん!?なにこの風景!それになんで腕を隠してるの?」「いや、右腕がうずいてしまって…あはは」「厨二病?俺が眠ってしまった分働こうぜ!やりたいことはまだまだ山積みなんだからな!」まったく…雷飛君は本当に呑気だ。でもその呑気さで運命や定めを決めることもある。きっと、いい遊園地になるといいな。だから僕は護衛する。毎日、毎日どんな時でも貴方を護る。護衛の対象として…。「業者呼んだぜ!完成まで二ヶ月だって!」「いや、早!?」よし、僕らも手伝おう。この遊園地の開園までスローペースでもいいから――――。
「さてと、アメリカの遊園地をすべて、潰した。後は…
《Japan, it's just you》」
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ナイトジャグラー 空four @kufour
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