魔王城でお見合いするなんてありえないでしょう?

@hushiliang

第1話



著者:@子更拉拉


[現在、B菠萝包、K站にて連載中]


**序章**


「百万年前、世界の魔力脈絡はまだ安定せず、本質と概念は混沌の潮のように渦巻いていた。根源的な衝突の中で、極めて純粋な魔力、極めて濁った魔力、そしてその両者の間にある調和の力が、至高の神々を生み出した」


老牧師の枯れた指が聖書の黄ばんだページをそっと撫でる。その声は、冬の日だまりのように温かく、広い教会堂に静かに流れていく。


「世界の空虚さに感じ入り、神は三つの魔力からそれぞれ精髄を抜き取り、エルフ、魔族、そして人間を創造された。魔力の奔流を鎮めるため、神は世界の心臓から世界の瞳へと、天地を貫く巨大な法陣を敷かれた。以来、魔力は小川のように穏やかになり、世のすべての生き物は神と共に歩み、魔法の恵みを共にすることとなった」


説教壇の下では、子どもたちの輝く瞳が、創世の叙事詩に聞き入っている。


「創世の偉業を成し遂げた後、神は人間の中から九人の傑出した魔法使いを選び、法陣の維持管理を委ねられた。しかし、永い時の中で、全能全知の神は永遠の孤独と世の空しさを感じ取り、ついにご自身の存在を【本質】と【概念】という二つの法則へと変えられた。以来、万物の運行には全て道理が宿り、あらゆる生命活動は因果の流れに従うこととなった……」


老牧師はゆっくりと聖書を閉じ、慈愛に満ちた眼差しで子どもたちの幼い顔を一つひとつ見渡した。


「あの九人の魔法使いの責任は代々受け継がれ、今の【九席の魔法使い】となった。現在の席次の中には、魔法式の研究に没頭する者もいれば、国境で赫々たる戦功を立てる者、内政に精通し、優れた魔法使いであると同時に聡明な政治家でもある者もいる……」


「もっとも」老牧師の声に突然、幾分の諦めが滲んだ。「一日中なにもせず、この栄誉を汚す者もいる」


「知ってる知ってる!」赤毛の少年が興奮して手を挙げた。「研究に夢中なのは【数式の魔法使い】様だ!」


「戦場で無敵なのは【金属の魔法使い】だ!」別の子どもが続けて叫んだ。


「怠けてばかりの席次持ちは最悪だわ!」おさげ髪の少女は頬を膨らませて言った。


老牧師は微笑みながらローブの中から布袋を取り出し、色とりどりのキャンディを子どもたちに配った。楽しげな歓声の中、彼は文句を言った少女の頭をそっと撫でた。


「その通りだ。皆、優秀な魔法使いを見習わなければならない。あの怠惰な大人の真似をしてはいけない」


「はーい!」子どもたちは口々に答え、驚いた雀のように一斉に散っていった。


教会堂は静寂に戻り、ステンドグラスから差し込む陽の光の中を塵だけが舞っていた。老牧師はゆっくりと目を閉じ、数十年前の時代に思いを馳せた。あの頃の彼も、この子どもたちのように、毎日午後に教会に足を運び、牧師の語る伝説の物語に聞き入り、キャンディやビスケットを受け取ると満足そうに家路についたものだった。


かすかな咳払いが、老牧師の回想を断ち切った。彼はオークの杖にすがりつき、教会堂の隅にある懺悔室へとゆっくり歩み寄った。閉ざされた木戸の向こうから、こそりこそりと音が聞こえる。まるで囚われの獣がもがいているようだ。


老牧師は慌てずに鍵を取り出し、鍵を開けた途端、中からよろめく人影が転がり出てきた。


「ゴホン!親父さん、いつの間に懺悔室に転送信標を仕込んだんだ? これじゃあ客人を歓迎してるとは言えないぜ!」


簡潔な呪文と共に、彼の服の汚れは瞬時に消え去った。彼は優雅に手を上げ、微かな光を爪先で躍らせながら、ほこりまみれの懺悔室を大袈裟に案じた顔で見回した。


「親父さん、もう清掃魔法さえ使えなくなっちまったのか?」


老牧師は冷ややかに鼻を鳴らし、すぐさま壁際の箒を掴んで彼に投げつけた。「教会堂内での魔法使用は禁止だ」。そう言い終えると、彼は説教壇の傍らの座席へ直行し、聖典を手に取って読みふけり、弟子の当惑した表情には全く構わなかった。


若い魔法使いはため息をつき、仕方なく掃除を始めた。箒のサッサッという音の中で時間が過ぎ、最後のほこりが片付けられた時には、夕日が教会堂を金色に染め始めていた。


彼は足音を忍ばせて老牧師の背後へ回り、口を開かんとしたその時、一枚の精巧な封書が彼の目の前に放り投げられた。


「これは……」彼は慎重に封蝋を解き、冒頭の目を引く赤色の文字を見た瞬間、顔面が一気に蒼白になった。


「席次所有者シルヴァン・ウェルシン・スウェレンジの公金流用による菓子購入の罪について」


その下には黒インクでびっしりと長い買い物リストが書き連ねられ、容赦なく最終支出額が記されていた。「五百六十王金七十九王銀十二王銅」。


シルヴァンの額に細かい汗がにじみ出た。声は自然と震えた。「先生……こ、この件がもう先生の耳に入ってたなんて……今回は本当に顔を潰しちまったみたいだな……」


「顔?」老牧師はようやく手中の聖典を下ろし、鋭い眼差しで彼を貫いた。「今更顔が立たないと気づいたのか? お前だけではない、老夫の面目も丸潰れだ! お前を九席に推薦した時、お前はどう約束した? 一日中ぶらぶらして、我々が栄誉を共にし、損害も共にすることを理解しているのか?」


老牧師は声を荒げれば荒げるほど興奮し、老いた指で杖を強く握りしめた。「何があろうと、お前は老夫【伝承の魔法使い】の名声を守らなければならない!」


面目を生命よりも重んじる恩師に対し、シルヴァンはうつむき、恭しく礼をするしかなかった。「はい……弟子は過ちを認め、先生に恥をかかせてしまいました」


老いた牧師は何句か罵ると息を切らして止まり、鋭い眼差しで弟子を頭のてっぺんから足の先まで何度も見渡した。シルヴァンは内心ぞっとした。「この親父さん、また何か企んでるのか?」


確かに、外見だけで言えば、シルヴァンの身なりは明らかに華美すぎた。真っ白な礼服は明らかにアイロンがかけられたばかりで、金色の飾り紐と勲章が胸元できらめき、袖口に散りばめられた宝石が夕日にきらきらと輝いている。この身なりは魔法使いの制服というより、宮廷舞踏会に出席するための服装だ。


「席次にいるあの手強い同僚が要求しなきゃ、誰がこんなに派手な格好したいもんか……」シルヴァンは心の中でぼそりと文句を言った。「親父さんには分かってるくせに……」


老牧師は彼の心を見透かしたかのように、冷ややかに鼻を鳴らし、杖をついてゆっくりと説教壇へ上った。彼は懐から王室の紋章が押された羊皮紙の巻物を取り出し、厳かに広げた。


「これにより、国王陛下のご裁可を経て、【質転換の魔法使い】シルヴァン・ウェルシン・スウェレンジを魔城へ派遣し、近頃世界の法陣に異常な波動を引き起こしている要因を調査させる。任務執行中、正体を露わにしない条件下で臨機応変に行動し、魔法使用を許可する……」


ここまで読んで、老牧師は珍しく間を取り、目にかすかな困惑が走ったが、それでも読み続けた。


「そして……質転換の魔法使いにのみ属する伴侶を探すこと」


その時、夕日の最後の一片が、ちょうど教会堂のステンドグラスを通して中央の通路にまだらの影を落とした。王国中のすべての教会堂には、意図的にこのような光と闇の境界線が残されている――「宗教と魔法の境界線」と呼ばれるものだ。


シルヴァンはその時、自分と老師がこの境界線の両側に立っていることに気づいた。この瞬間、彼はもちろん、この境界線が彼の未来の人生の軌道を示唆しているとは思いもよらない。しかし今の彼には、この突然の命令と、この劇的な情景が、ただ荒唐無稽に感じられるだけだった。


満腹の疑問と無奈を抱えて、彼は老師に向かって深々と一礼し、振り返って教会堂の重厚な扉を押し開けた。


夕日の残光が彼の影を長く引きずり、白い礼服の裾が夕風にそっと揺れていた。彼の背後で、老牧師は弟子の遠ざかっていく背中を見つめ、呟くようにつぶやいた。


「神よ、この未熟な子をお守りください……」


そしてシルヴァンが今、ただ一つの考えはこれだった。「陛下も先生同様、老いぼれたのか」。


【序章】終わり

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