1章まで読了――
かつて世界を救った勇者。
しかし、帰還した彼を待っていたのは、喝采でも名誉でもなく、ただの“忘却”でした。
本作は、孤独の中でひっそりと暮らす元勇者が、
ひとつの「虹の種」と出会うことからゆっくりと始まる物語です。
静かな山での生活、手探りで家を作る日々、
誰にも気づかれなかったはずの彼に、少しずつ差し込む“誰かとの出会い”。
戦いも派手な魔法もない。
けれど、胸にじんわり染みる感情の連続が、この物語の魅力です。
孤独の痛み、その中に芽生える小さな希望——
読み進めるほどに、彼が抱えてきた「空白」に触れ、温かく寄り添いたくなる。
繊細で丁寧、そして確かに心が動く。
“スローライフ”という言葉を静かに塗り替えてくれる作品です。
まだ、この物語がスタートして、それほど時間が経っていないのですが、この時点で既に、かなり
心に来る
物語になる予感がしてなりません。
派手な絶望や悲劇ではなく、じわじわと積み重なる喪失と孤独に勇者は呑み込まれてしまっているようです。
一体何があったんだ?
今の時点では、勇者は仲間を疑うことになる苦しみを抱えていることや、帰還後も誰にも認識されない虚しさ、英雄であるはずの自分の不在を望みつつも本心ではそうでもないのか?
なのかなぁ、と。あくまで推察です。
哀しみの中に人間の弱さとリアリティが描かれていて、胸が締めつけられるけれど、読ませる力のある作品だと思います。
おそらくぐいぐいと、読者を引っ張ります。
読み始めるなら今だと思います。