第13話 音の壁を超える新鋭機!!
アメリカが戦艦の建造ラッシュに入った事を知った東郷は、
次の段階へとシフトする。
「零戦は訓練機に順次格下げ。噴射式(ジェットエンジン)戦闘機を開放セヨ。
戦艦部隊は国防と空母護衛に回せ。」
言及はしないが、戦艦の役目は南太平洋海戦で終了。
伊号潜水艦(5000tクラスの大型潜水艦)に、新型魚雷。
機関はシュノーケル式で夜間以外は完全に水中艦。
>シュノーケルに電探装備。
艦体を大きくした事で武器の魚雷を大量に搭載出来、乗員の生活空間も大きめに。
出来る限りの自動化で乗員数を抑え、海の忍者として活動。
艦体は未来の潜水艦を元にゴムで全艦を包み、鉄の反応が出ない様に工夫。
恩恵として耐圧性能もかなり上がり、実用試験では驚異的な400mの深度まで耐えたと言う。
しかも余裕を持って。
作戦時には限界を超える可能性も高いが、運用時は50mで潜り、シュノーケル航行をする。
Uボート同様に米艦には無差別攻撃を開始する事となる。
正々堂々の海戦は先の海戦まで。
陸軍兵力は防衛に特化し、敵地は占領セズ。
また空母は5万t超の大型空母に新鋭の噴射式戦闘機、「震電」を搭載。
>F86型よりコッチですよネ~~!!
場所は変わってココ横須賀航空隊は東郷マネーで更に埋め立て拡大。
3000m級の滑走路を二本に増設。
管制塔も電探を装備し、近代化。
エンテ型と呼ばれる先尾翼の後退翼式機、震電は高速でも舵の効きが良いと好評。
特に先の海戦でエースとなった岩本徹三中尉は大喜び。
岩本は実史でも西澤と並ぶトップエースとして名高く、
先の南太平洋の海戦では15機のスコアを稼いだと言う。
帰国後、彼等の戦果を称え、勲章と共に昇進。
飛曹長だった彼は海軍中尉に二階級特進。
東洋のトップエースとしてニュース映画にも出演。
その彼に震電を与えると大喜びで乗り始める。
レシプロ機と違い、梯子必須だが狭い甲板で梯子では間に合わないので、
引き込み式の梯子を機内に装備。
整備士に説明を聞き、機に装備してるヘルメットを装着。
酸素マスクを装備し、Gスーツにパイプを繋ぎ、
無線と電探スイッチを入れ、エンジンヒーターON!
>外部電源繋ぎます。
タービンが温まったらゆっくりとファンを回し・・・点火!!
点火と同時に外部電源のソケットを抜くのも忘れず。
徐々に回転を上げ推力を維持。
しゅごぉぉぉ~~~!!と轟音を立てタービンは高回転に移行。
推力を落として・・「チョーク外せ!」とマイクで叫ぶと地上誘導員は
ヘッドセットで聞き頷く。
そして車輪止めを外しパイロットに目視させる。>事故防止です。
滑走路末端までタキシングし、海向きに向かってスロットルON!!
ドコォ~~ンと言う爆音と共に震電は加速し、2000mで離陸。
>空母搭載時にはカタパルトで発進させます。
後に水平時速950kmを計測し、急降下で音の壁を破り
現代世界では世界一の速度を誇る事となる震電。
>実際には15試艦上戦闘機が試作時代の公式名です。
都合上、艦上戦闘機震電で統一します。
岩本は徐々に高度と速度を上げ、500kmに達した時、スロットルを全開。
急上昇をし一気に12000mまで上昇。
震電は飛行機雲を引きながら加速し、12000mで水平時速950kmを計測。
「こちら岩本、只今時速950kmを計測。最高高度は15000m!!」
水平加速を使い15000まで登ると地球は丸いと言う事を実感する。
「地球は丸いな・・・富士山が小山にしか見れない。
日本海が琵琶湖に見える。大島も・・・。」
壮大な景観に見とれて岩本は独り言を言う。
地上班は岩本の独り言も全部、テープに録音。
映写班も点にしか見えなくても撮影を継続。
やがて・・。
「上昇限界15251m。これが限界。
次は暖降下に移る。」
>急降下は禁止しました。
「スロットルオフ、加速は良好。
高度15000より45度の角度で降下。
時速960km・・1000km・・・・・」
そこまで言った瞬間・・。
岩本は人類史上初の音の壁を超え、ソニックブームを起こし、
史上初の音速パイロットとなる。
<<<バァ~~~ン>>>
聞いた事も無い音が響き、さすがの東郷も驚く。
技師に聞くと音の壁を破った時の音(ソニックブーム)と言う。
岩本は満足して頷き速度を落とし、横空基地に着陸許可を求める。
「コチラ岩本、全試験終了ス。着陸宜しいか?」
基地管制塔から許可出ると東京湾で速度を殺しながら旋回し、
高度を落とし250kmで着陸。
機銃は30mmを機首に4門。
性能はドロップタンク装備で航続距離3000kmと充分。
速度計は1000kmまでだったが、音の壁を破った際に振り切ってしまい壊れてた。
次回からはマッハ計も備えぬと。
速度が速すぎる為、誘導爆弾の開発も急がれてたが、
当面は潜水艦戦に移行するので無問題。
基地に居る技師に岩本は詳細を説明し、椅子にドッカリと座る。
タバコを燻らし、煙の輪を吐き出す。
蒼空には先程まで飛んでた己の機の飛行機雲の軌跡が残ってた・・・。
「元帥閣下、新鋭機は如何でしょうか?」
横空審査部の課長が東郷に尋ねると。。
「ウム、良くぞ頑張った。だが決して満足はせぬ。
敵もきっとこの新鋭機を超える機を開発するであろう。
明日とは言わぬが、来年には・・・と考え、現状維持で満足せぬ様に。」
「ハッ!!新鋭機に勝てる機を必ずや開発します。」
勝ってる今こそが勝利のチャンス。
決して現状に満足しない事が未来への道と未来を見た東郷は知ってるのだ。
後書き
震電でジェット機飛ばします。
チャックイエーガーが超えた音の壁を岩本が破ります。
次回からは防空戦になります。>サイパン、トラック島、グァム沖でです。
占領はしませんので。
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