第14話 大元帥、サイパン沖航空戦を観戦ス!
東郷は今、グァムから飛来する敵攻撃隊を迎撃する戦闘機隊を観戦してる。
ジェット機は配備はしたが、まだ数が揃わぬので、未だに零戦が主力機。
急がせはするが、零戦もまだまだ強い。
トラック島の竹島では戦闘機部隊訓練専用の島。
アングルドデッキ式の滑走路を建築し、カタパルトも備え艦載機の発着訓練地でもある。
全戦闘機搭乗員は訓練が進むと空母配備前にトラック島で徹底的に訓練を施す。
一応、電探は装備してるがトラックはまだまだ安全地帯。
別途、補充基地としてペリリュー島とパラオに基地も設けてある。
場所は変わってサイパンのアスリート飛行場では・・・。
敵の空襲が激化している激戦地。
(空襲警報発令空襲警報発令!
敵攻撃隊約50機、グァム方面より飛来ス。)
「回せ~~~!!」
パイロット達は己の愛機目指して駆け寄るが、緊急時にはどの機に乗っても良い事になってる。
「俺の機を・・・」
「オーライ!!」
二等飛行兵曹に愛機を取られる新米少尉の泣き顔が・・。
零戦は低空を全速で突っ走り、まずは速度を稼ぐ。
増加タンクは海で捨てる。
>後で海防艦が浮いてるので回収して再利用します。
機銃は全装填済。
約150機の零戦が全機飛び立つまで5分もかからなかった。
飛行場は騒然と殺気立ってるが、戦闘機が飛び立てば静かになる。
「大元帥、危険ですから防空壕にお入り下さい。」
副官が諫めるが・・。
「三笠の艦橋を思えばココは天国よ。
部下の奮戦を壕から見るのは彼等に失礼。
敵弾が当たればソレもまたヨシ!!」
副官は真っ青だが、提督には逆らえない。
仕方ないので無線で戦闘機隊に指示を出す。
「こちらアスリート基地隊管制塔、
東郷大元帥が基地で観戦なされてる。
絶対に敵を基地に近づけるな!!」
「「「「応!!」」」
返信は一言。
だが敵側も無線を傍受してて大騒ぎ。
「アドミラルトーゴーがアスリートに居るぞ!!
基地へ急げ!突っ込め!!」
米空軍総合指揮官、ジョン中佐は無電で部下に指示。
敵戦闘機を無視してでも基地を空襲出来れば・勝てる!
そう思ってたが・・。
「敵はP40戦闘機50機、B17、20機の混成軍団。絶対に通すな!!
最悪、体当たりしても味方基地上空だ。機は捨てて脱出してもヨシ!!」
管制塔からは次々に指示を与え、
敵側も続々とアスリート基地に侵入を試みる。
P40は3000を超えると性能がガックリ落ちるので高空戦は苦手。
零戦は敵の性能全てを上回る高性能戦闘機。
大空の死闘が始まると轟音と死の輪舞が空の軌跡として残る。
火だるまとなって主翼を折られる敵機。
被弾して不時着水する零戦。
何とか侵入しようと零戦を振り切るB17。
蒼空は海戦とは違った死闘が見られる。
各搭乗員にはGスーツを支給してるので、Gには耐えられる様になってた。
逆に米軍は格闘戦ではブラックアウトするパイロットが続出。
失神して墜落死するパイロットもかなりの数となってた。
P40の戦闘空域は高度3000m前後。
蒼空には飛行機雲の軌跡が描かれ華やか。
だが、コックピット内では男が重力の何倍ものGと闘い、
顔はアカンベーをしたみたいに重力で引っ張られる。
「突っ込め突っ込め!!トーゴーを討つのだぁ!!」
B17の指揮官は戦闘機みたいな軌道をしながらアスリートを目指してた。
だが、零戦隊も東郷閣下を討たれては死んでも詫びれない。
一人のパイロットが、時速850kmの急降下攻撃でB17に突入。
回避が間に合わず尾部を主翼で切り裂きB17は墜落。
指揮機だったのでB17部隊は大混乱。
アスリートに侵入出来ず、爆弾を海に捨てて脱出。
零戦も主翼を折ってしまいキリモミとなって墜落寸前だったが、何とか立て直し、機を捨てて脱出に成功しパイロットは後に救助。
「今の体当たり機は??」
「後程調べてお知らせします。」
救助されたパイロットは少尉機を奪って出陣した新米の二飛曹。
杉田庄一と言う新潟出身の飛行兵新米。
提督の一声で特進され飛行曹長に任命。
後に岩本、西澤(艦隊パイロットで訓練中でした。)に次ぐ第三のエースに成長するのは後の話。
「空襲警報解除、空襲警報解除、在空機は哨戒機を残し着陸を許可する」
轟音と死の空は静寂を取り戻し、彼等の舞った死の輪舞の軌跡が残るのみ。
着陸後、指揮所前で整列し戦果の照合を開始。
>ガンカメラも装備してます。
「敵撃墜数、P40、38機、B17、9機。
被害、零戦5機。パイロットは全員無事。」
被害機は体当たり機も含む為。
東郷は・・。
「ウム、皆の者、御苦労であった。全員に恩賜の煙草を支給する。」
歓声をあげ彼等は一人二箱の煙草を受け取り、指揮所を後にする。
「元帥、敵も中々頑張りますね。」
「ウム、負けてばかりではいられぬしのぉ。
零戦で勝ててる日もそう長くは無いだろう。
必ず新鋭機を近日中に出すハズだ。
それまで持ち応えて欲しい。」
「ハイ・・・。」
東郷と副官は蒼空を眺め、煙草の紫煙を燻らせていた。
後書き
サイパン沖での激戦です。
米海軍は再建途中なので陸軍機が主力です。
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