第二話:異世界への漂流:射撃開始!!
エンジンの音が響く中、機体が発進。乗組員たちは、未知の土地がもたらす脅威と好奇心の狭間で、偵察隊の報告を待った。偵察隊の二手に別れた、一つはKa-27PSとKaー29TBの内陸偵察部隊と、もう一つは哨戒兼周辺海域の偵察をするBe-12飛行艇だった。それぞれが空へと舞い上がり、この異世界について調査を始めた。
まず、Ka-27PSとKaー29TBの2機は低空を飛行し、港町の上空に到達した。Kaー27PSは上空から副操縦士が双眼鏡で街を覗き込み、町の様子を詳細に観察した。街は中世ヨーロッパの世界の様で木造やレンガで出来た建物が多く、大都市というほどでは無いがそれでも中規模の少し大きめの街だった、町の通りを歩く人々は、見たこともない姿をしていた。人間らしき者たちの傍らに、尻尾が生えた人や動物の耳が生えた人、人間と動物の中間といった人や尖った耳を持つ俗に言うエルフの様な人や、背の低い頑丈なドワーフが混じっていた。彼らは剣や斧、ハンマーに杖等丸でRPGゲームに出てきそうな武器や様々な鎧や服装で、日常的に魔法のような現代科学では説明出来ない現象を扱っているように見えた。空を飛ぶ羽の生えた人間のような影も見え、町の周囲には不思議な結界のようなものが漂っていた。操縦士は無線で艦隊に報告した。「報告、港町周囲は城壁のような物で守られ、主にレンガや木造、石造の建物が多く、街の規模は中規模な物で人間以外の多種多様な種族がいます。未知の人種に魔法を使っている……。これは…我々の知っている世界とは全く違います……。」
艦橋に戻り報告を聞いた艦隊総司令は、顔を硬くした。すでに海の星空や空気の感覚から異変を感じていたが、この情報が決め手となった。「やはりここは我々の居た世界じゃない。時空の歪みが我々を別の次元に投げ込んだんだ、今後しばらくは警戒を強めろ。全艦、警戒体制を維持。」総司令の言葉は艦隊全体に響き、乗組員たちの緊張をさらに高めた。未知の種族がもたらす脅威は、想像以上に現実味を帯びていた。
そしてKaー27PSが上空から偵察をしていた同時刻、現地民に気付かれないようKaー29TBが街から10km離れた森の中の開けた場所に着陸し、先遣隊として歩兵5名を降ろした、操縦士「それじゃ気を付けてな」 分隊長 「分かってる、ありがとうな!!」ヘリは離陸し艦隊へ帰還した、
Be-12飛行艇は艦隊から少し離れた上空を旋回し、付近に別の島や港がないか偵察していた。飛行艇は広大な海原を飛ぶ中、突然の襲撃を受けた。大型のトカゲに赤い鱗に覆われた翼が生えた魔物…飛竜が空からダイブしてきて、機体に襲いかかった。飛龍たちは鋭い爪と炎を吐き、飛行艇の周囲を旋回した。銃座手は慌てて機体の銃座を回転させ、23mm機関砲を放った。銃弾が飛竜の体を貫き、数匹が血を流し海面に沈んだ。銃座手 「撃退した! 」副操縦士「14時の方向また来るぞ!」と、銃座手と副操縦士は叫んだ、残りの飛竜が執拗に攻撃を続けた。飛行艇は損傷を負い、やむなく、操縦士は無線で救援を要請した。「本隊に救援要請! 未知の生物の群れに襲われている! 位置は…」 水兵「こちらミサイル艇、了解したすぐそちらに急行する」要請を受け飛行艇に一番近い位置にいたマトカ型ミサイル艇一隻が、即座に反応した。艦は砲門を開き、速やかに現場へ向かった。海面を航行する中、ミサイル艇の対水上レーダーには飛行艇とその後をついてくる飛竜の影を捉えた。ミサイル艦の乗組員は、初めて目にするこの異形の敵に驚愕したものの、訓練された手際で対処した。艦の主砲やCiws、艦対空ミサイルが轟音を上げ、飛竜の群れを次々と撃墜する、そんな中突如見張り員が叫ぶ。見張り員「艦右前方より大型生物浮上!!」水兵「うわぁぁぁ!!」 ミサイル艇艦長「手を離すな!!、各員持ち場を維持しろ」生物の浮上により発生した波で船体が傾く、浮上してきたサメのような化け物がこちらに向けて力を溜め、ブレスのような物を撃ってきた、「機関最大戦速躱せ!!」「最大戦速!!」、ミサイル艇は化けザメの攻撃を避け、「よし!30mmバルカン発射!!奴の口に鉛玉のフルコースをくれてやれ!!」「了解!!」ミサイル艇の艦後部にあるAk630がサメの口に向かって無数の30mmの鉛玉を食らわした。機関砲の榴弾が水面を揺らし、 化けザメは苦しげに吼えながら沈んでいった。その後もミサイル艇は対空戦闘を続け、戦闘開始から数時間後空が夕焼けに染まる中、飛竜の群れはすべて殲滅された。ミサイル艇と飛行艇の損害は軽微に終わり、陸部偵察ヘリ隊が帰還し、歩兵分隊を除く全部隊が無事に艦隊の帰還することができた。
この一連の出来事で、艦隊は異世界の危険性を身をもって知った。総司令は艦橋で静かに呟いた。「ここは本当にゲームの世界みたいだ。我々はこの世界にとって侵入者なのか、それとも運命の片棒を担ぐ者なのか、いずれにせよ、生き残るために戦うしかない……そういえば上陸した歩兵分隊はどうなった?」「着陸後すぐは通信が繋がったらしいのですが……」「繋がったらしいが……?どうなったんだ?!」艦隊副司令は厳しい顔で俯いて「数時間前から連絡が無いそうです、小隊全員の消息は不明です……」
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