第一話:異世界への漂流:偵察開始!!
海の荒い波の中、ロシア海軍の輸送艦隊は航行していた。旗艦を先頭に、護衛艦や補給艦、揚陸艦などが隊列を組んで進む。艦隊はウラジオストクを出港しオホーツク海で行われる大規模な演習の為タタール海峡を航行いていたが、誰もが予測し得ない事態が突如として訪れた。先程まで雲一つ無かった空がまるで嵐が降るような天候に変わり空気が歪み、空全体が揺らぐような感覚が襲ってきた。レーダー画面が乱れ、通信システムが一瞬で沈黙する。艦長は艦橋で叫んだ。「何が起きている!? 外部との連絡を回復せよ!」
それは時空の歪みだった。科学的に説明できない現象が艦隊全体を包み込み、瞬く間に彼らを別の世界へと飛ばした。波の音が変わり、空の色が異質なものに染まる。艦隊は未知の海に浮かんでいた。周囲は広大な海原で、星の配置すらおかしい。ラジオは静寂を返し、衛星通信は途絶。乗組員たちはパニックに陥った。船体が揺れる中、巡洋艦艦長兼総司令は必死に状況を掌握しようとした。「これは…各員に告ぐこれは訓練じゃない!!。各自持ち場に付け!!各艦に通達、対空対水上対潜警戒を厳としろ!!」
数時間後、艦隊はようやく落ち着きを取り戻した。ka-25哨戒ヘリを四機飛ばし、偵察用の機器を動かし、海図を作成しようとするが、既存の地図と全く一致しない。代わりに、遥か彼方に陸地のシルエットが現れた。ヘリが一機近づき、双眼鏡で観察した。それは大きな港町のようだった。町は石造りの建物が並び、中世のような城壁が囲んでいる。港には巨大な帆船がいくつも停泊し、人々が剣を携えて歩く姿が見えた。陸地の更に奥を見ると空を飛ぶ影のようなもの—おそらく鳥や飛行機では無い何かがちらりと見えたが、艦隊の乗組員たちには信じがたい光景だった。
艦隊総司令は巡洋艦の一室で副司令と揚陸艦から海軍歩兵隊指揮官を会議に召集し今後の作戦について話した。総司令「これが先程哨戒ヘリからの偵察情報だ、君らはこの写真をどう思う?」副司令「全く信じられません……」海軍歩兵隊指揮官「全くもって不可解だ、第一ここは何処なんだ?サハリン沖のはずだろ?何でさっきまでユーラシア大陸とサハリン島から相当離れた場所を航行してたのにたかがヘリですぐ見える所に島があるんだ?」歩兵隊指揮官からの言葉に総司令は答える 総司令「これは私の推測でしかないが…先程の嵐の影響により我々は未知の世界に迷い込んでしまった。これより我々は情報を集めねばならない。これより早急に付近の海域データを入手、飛行艇とヘリによる航空偵察隊を編成する、何か他に意見や提案はあるか?」海軍歩兵隊指揮官「こちらとしては陸上偵察隊を編成し、陸地の調査をして本当にここが別世界なのか、あと艦隊が停泊可能な場所を探したいと思う、ずっと海の上では疲労が溜まるばかりだからな」総司令「分かった、上陸隊の指揮はそちらに任せる、それでは会議を終了する」会議後すぐに、巡洋艦からKaー27PL対潜ヘリ一機、揚陸艦からKaー29TB突撃輸送ヘリ一機、Beー12飛行艇が水上から離水した。二機のヘリコプターは低空を飛行し、飛行艇は高度2000m付近を飛行し、付近の海上や他の陸地や島の確認及び港町からさらに奥の陸地を偵察するよう命じられた。エンジンの音が響く中、本隊の乗組員たちは、未知の土地がもたらす脅威と好奇心の狭間で、偵察隊の報告を待つのであった……。
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