初めての夜。フリルとスープと少し照れくさい日
(リリサが扉を開ける)
リリサ「この部屋が今日からあなたの部屋ね。」
(部屋の中はベッドと机、タンスだけ。質素だけど清潔で木の香りが落ち着く)
ティナ「へぇ……結構広いんだな。」
(リリサがタンスを開けてごそごそと服を探す)
リリサ「とりあえず今日はもう遅いから……パジャマでいい?」
(差し出したのは、白くてフリルのついた肌触りの良さそうなワンピース)
ティナ「……え? これに着替えるの……?」
(顔がみるみる真っ赤になる)
リリサ「パジャマじゃなくてお出かけ用のにする?」
ティナ「いやそういう問題じゃなくて!!俺男だから!!
こんなフリフリの可愛いのは恥ずかしくて無理だからっ!!」
(リリサがふっと笑う)
リリサ「さっき鏡を見たでしょ?
どっからどう見ても女の子よ。似合うと思うわ。」
(軽く手を振って)
リリサ「私はリビングに戻るから、着替えが終わったら出てきてちょうだい。」
(バタン、と扉が閉まる)
ティナ「……マジで?」
(肩を落としつつ、しばしワンピースとにらめっこ)
ティナ「……これを着るのか……」
(少し間。ため息)
ティナ「……くそ、負けた気がする……」
(数分後、扉が開く)
リリサ「あら、やっぱり似合う! すっごく可愛いわ!」
(ティナ、真っ赤)
ティナ「そ、そんな……“可愛い”とか言われても……」
(モジモジしながら視線を泳がせる)
ティナ「(三十年以上、可愛いなんて言われたことねぇよ……!)」
ティナ「あの、この服……すっごい足がスースーして落ち着かないんだけど……」
リリサ「大丈夫大丈夫、すぐ慣れるから。それに――ほら、自分で見てみなさい。」
(玄関前の姿見を指さす)
(ティナがおそるおそる覗き込む)
ティナ「……うわ……」
(そこには、清楚系美少女が立っていた)
(白いフリルのパジャマがやわらかく揺れ、髪は光を反射してきらめく)
リリサ「可愛い女の子は、やっぱりおしゃれしないとね。」
ティナ「そ、そんな趣味ないしっ!」
(と言いつつ、視線は鏡に釘づけ)
リリサ「説得力ないわよ。」
(クスッと笑う)
リリサ「とりあえず晩ご飯にしましょうか。食器出すの手伝って。」
ティナ「は、はい……」
---
(木の食卓に湯気が立つ。ランプの光がやさしく揺れる)
リリサ「さぁ、できたわよ。」
(テーブルに並んだのは、キノコと豆のスープ、そして焼きたてのパン)
ティナ「(……今日は牛丼の気分だったんだけどなぁ……)」
リリサ「いただきます。」
ティナ「い、いただきまーす……」
(おそるおそるスプーンを口に運ぶ)
ティナ「……っ!? う、うまっ!!」
リリサ「え?」
ティナ「な、何このスープ! 薄味なのに……キノコの旨味がすごい!!」
(夢中でスープをかき込むティナ)
リリサ「ふふっ、そんなに慌てて食べなくても大丈夫よ。」
ティナ「あ、はいっ……すみません、美味しくてつい……」
リリサ「口に合ってよかった。おかわりもあるからね。」
ティナ「……本当に、うまい……」
ティナ「(いつもはコンビニの弁当を家で一人で食べて……
テレビの音だけが相手だったのに……)」
(目の前では、リリサが穏やかに笑っている)
ティナ「(誰かと一緒に夕飯を食べるなんて、
……久しぶりだな。なんか……悪くないかも……)」
(食後のリビング。暖炉の火がパチパチと心地よくはぜる)
ティナ「食った食った〜! 腹いっぱい〜!」
(椅子に背もたれして満足げに伸びる)
リリサ「まさか3回もおかわりするとは思わなかったわ。」
ティナ「だって美味しいんだもん!」
リリサ「ふふっ、食欲があるのはいいことね。」
(紅茶を飲み終え、リリサが立ち上がる)
リリサ「今日はもう遅いし、そろそろ寝ましょうか。
明日はご近所さんに挨拶して、街を案内するわね。」
ティナ「おっけー。……って俺、もう“女の子の見た目”で外出するのか……」
リリサ「当たり前でしょ。ふふっ、おやすみ、ティナ。」
ティナ「……おやすみ。」
(――ティナ、自室へ)
(木のベッドに横たわる。外は虫の声と湖のさざ波)
ティナ「(異世界転生なんて、本当にあるんだな……)」
ティナ「(でも……まさか俺が、こんな美少女になるなんて……)」
(髪を指にくるくる巻きつけながら、ぼんやり天井を見る)
(机の上の鏡が目に入る)
ティナ「(……本当に、可愛いな……)
(見た感じ、小学生?いや、中学生くらいか……)」
(そっと鏡の前に座り、自分の顔を覗き込む)
(頬がふわっと赤くなる)
ティナ「……えへっ☆」
(ピースポーズ)
(しばし沈黙)
ティナ「……いや、何やってんだ俺はぁぁぁぁっ!!」
(ベッドにダイブ)
ティナ「とりあえず……もう今日は休も……」
(布団にくるまり、目を閉じる)
(窓の外、月が静かに湖を照らす)
ティナ「(明日はどんな日になるんだろ……)」
(やがて穏やかな寝息が、木の家に響く――)
次回【お姉ちゃんと釣り竿と羞恥プレイ】
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