第22話 病室で

そして、案内された病室に入ると…


「あ、奈織。来たんだ」


そう言ったのはいかにも元気そうな誠二で、


「看護師さん、僕入院しなきゃダメですか?」

「ダメです。ていうか、あなたは背中を複数箇所刺されてるのにどうしてそんなピンピン元気そうなんですか?」

喋っていた、看護師さんが出ていき


「誠二、大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ」

と返されて安心したからか、涙が出てきてベットに顔をうずめると誠二がゆっくりと頭を撫で


「ごめんね、心配かけて」

と、言われた。

そして、暫くして落ち着いたので横に座って話をしていると


「失礼しまーす。誠二~大丈夫か?」

と言いながら入ってきたのは、女性刑事さんで


「おぉ、誠二元気そうだな。隣のかたは…」

「彼女です」

「あぁ、言ってたお嫁さんか、私刑事1課の原田です。よろしくお願いします。」

「えっと、誠二とどういう関係なんですか?」

「誠二のお母さんの友達です」

「なるほど」

「で、誠二。犯人を捕まえたぞ」

「速いですね、おばさん」

「だろぉ?。あと、おばさんじゃなくて、お姉さんだ」

「善処します」

そう言って、取り出してた紙を見せて

「こいつで、間違いないな?」

「えぇ、こいつです。」

その顔写真には斎藤さんだった。

「よし、わかった。じゃあ、事情聴取してくる」

そう言いながら、出ていったので


「誠二、斎藤さんに刺されたの?」

「うん、刺された。あと、奈織の事も探しているみたいだった。」

そう言うと同時に、今度はお医者さんと看護師さんが入ってきて

「誠二くん、傷見せて」

そう言って、見たお医者さんが

「うん、退院して良いよ。包帯は毎日かえて運動は控えてね」

「わかりました。」

「服は、ズタズタだから…それ、着てって良いよ。」

「じゃあ、奈織帰ろ」

と言われたが速すぎる退院に驚きを隠せずにいると看護師さんが

「この傷で、即日退院する人初めて見たよ~。あ、彼女さん車椅子押してあげて」

ポカンとしつつ病室を出て入り口に着くと

長谷部さんが

「お帰り。はい乗ってね」

と言われるがままに車に乗って帰る途中誠二が


「奈織大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。ちょっとびっくりしてるだけで」

「まぁ、こんぐらいたいした事無いよ」


と言われ、家に着くと

誠二は車椅子で移動しながら


「奈織、文化祭楽しかったね」

「全然楽しくなかった、誰かさんが最後の最後に刺さるから」

「その事については、すいませんでした」

「なぁんて、嘘だよ。楽しかったね」

「うん、楽しかった」


そして、車椅子に座っていることでいつでも誠二に座れることがわかった奈織はと言うと

学校から帰って来ると、ずっと誠二の上に陣取ったのであった。



後日

誠二は、刑務所に来ていた


「すいません、斎藤に面会予約してた菊田なんですけど、」

「あぁ、お待ちしておりました。少々お待ちください」


待合室で待つこと5分


「菊田さん、こちらヘ」

そうして、通された面会室に行き。分厚いアクリル越しに斎藤がいた。


「よぉ、斎藤。調子はどう?」

「あぁ、お前か。よくも、人の人生台無しにしてくれたな」

「それはこっちのセリフなんだけどな」

「けど、お前足の1本くらい動かすことできねぇじゃないの?」

「お前よりかは、自由に動かせるよ。356番さん。」

「てめぇ、ふざけやがって。」

「おっと、時間が来てしまった。じゃあ、また」


そう言って、刑務所を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る