ただの回想録

脳病院 転職斎

第1話

ただの回想録。


昔、地元の山口県防府市から周南市須々万まで20kmくらいチャリで走破したことがあり、これに味を締めちゃったもんで山口市や宇部市まで遠征するようになった。


そのうちに、80kmくらい離れた萩まで行けるのでは?と思っちゃって、防府から越ヶ浜のばあちゃんちまで本当に行っちゃって、身内からテンクラ(山口弁でキチガイや野風増を意味)と呼ばれた。


それから高校卒業して、原チャで防府から越ヶ浜まで行こうとしたところ、道の駅あさひを越えた所でぬかるみに滑り、横転。原チャの骨が折れて走れなくなったので、叔父ちゃんに軽トラで回収させてしまった。


しかしテンクラ癖は治らず、20代前半の時には、沖縄から鹿児島まで原チャごとフェリーに乗り、鹿児島から福岡まで走破しようとまた変なこと企んでしまい、阿久根市の下り坂を走行中に、右折してきたトレーラーとぶつかって原チャが大破した。奇跡的にも俺は倒れることもなく無傷で、近所の希望村物産館(今は潰れたが障害者作業所の商品の販売所)に助けられて、九州新幹線で博多まで行った。


テンクラの俺は何がしたいのか自分でもよく分からん。


ハタチの時に中国大陸を放浪して、それから陸上自衛隊に入って、辞めてからは西はイランまで放浪し、アジア大陸を往復する形で沖縄に辿り着き、無一文のまま流れながれて博多に辿り着き、今では熊本に移住して一児をもうけている。


駆け抜けても駆け抜けても終わりがない人生。人生という旅は天国まで続く放浪なのかもしれないね。


雲の向こう、空の向こう、海の向こう、地平線の向こう、時の刻みの向こうまで、駆け抜けたい。駆け抜けたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ただの回想録 脳病院 転職斎 @wataruze

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る