瞬き1つ

 私──星野ほしの 美空みそらは、今年で高校生になる。通う高校は星河高校せいがこうこう。家から電車で約10分、通学性の良さは勿論、天体科学に特化した高校とうのも相まってこの高校を選んだ。

 1年のクラスは全5クラスで、私のクラスは3組のようだ。遅刻ちこくする程遅くは無いが、念の為だと足早に教室へ向かった。昔から方向感覚はしっかりしており、前日に校内マップを覚えておいたので、楽に教室に辿たどり着けた。

「昨日のドラマた?」

「観た観た!りあのキスシーンが良かったよね〜!」

「あーあ、あたしも彼氏とあんなキスしてみたいなー...」

「あんたの彼氏って物静かだもんね〜」

「そうそう。まあクールで格好良かっこいいから良いんだけどね。」

 同じ中学の子だろうか。そこまで難関校と云う訳でもないので、同じ高校を目指して入学したのかも知れない。

 あの子には彼氏と云うべき人が居るらしいが、私は恋人歴0年、恋人願望もないつまらない人間だ。なんて1人考えた。なに考えてんだろ。

 ふと、隣の席の人が未だ来て居ないことに気がついた。遅刻か休みか、最低限話せるように心構えだけはしておこう、と心に決め、特段とくだんする事も無いので大人しく席に着いた。何をするでもなく、ぼうっとしていると、隣から「何とか間に合った!あ、おはよう。」なんて声がかかった。明らかに自分に向けられたものだったので、気づかない振りをして無視するのもな、と思い「...おはよう...」とややっかえ気味に返事をした。

「私、神馬じんば 一美ひとみ。神の馬って書いて一つの美しさで神馬 一美。カンマとかカズミとか間違えられたりするけどね。」と苦笑いをまじえてった。

「えっと...星野 美空。星の野に美しい空って書く。ミクって間違えられることもあるかな。」

「どっちの字にも''美しい''って字が入ってるんだね。何だか運命かも...って初対面なのに烏滸おこがましいかな、?」

「運命、か。何だかちょっぴり分かるかもしれない。」

「そう?なら良かった!よし、今日から私達は友達だよ!これからよろしくね、美空!」

「こちらこそ宜しく、一美。」

学校生活をするにあたって多少の人間関係を求められる。多少は過ごしやすいかな、と思いながら一美と握手を交わした。

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星の瞬き 羅惟鵐 @Raimu429-1223

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