僕と彼女の一般ではない歪んだ恋愛

名浪福斗

プロローグ

 吾輩は犬である。名前はあるが、文字通りの男らしい。


 「犬飼君、聞こえてる?」


 夜道の路地裏、捨てられたゴミ袋達に顔だけ埋めて、下半身を外に突き出していた僕は、度数の高いアルコールで脳をやられて呂律が回らなかった。


 彼女は向けられた尻にヒールを突き立てて、僕をゴミ袋と同化するように力を入れている。


 華乃宮櫻子は僕を見下し、僕は彼女の顔を見ずとも、押し込められた力につい興奮して、ゴミに埋もれながらも天を仰いだ。


 

 ◆◆◆



 時刻は深夜3時。

 それまで誰にも発見されることなく、気がつけば僕は完全にゴミと同化し、下半身はビリビリに刻まれていた。


 夜中に一人。


 ゴミ山から捨てられたスカートを僕は見つけて、それを履き一言。


 「よし。明日も頑張ろう」


 ……これは僕と櫻子の、(一般的には歪んだ)愛のお話。

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僕と彼女の一般ではない歪んだ恋愛 名浪福斗 @bob224

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