第3話
私はさっそく
お釈迦様のお肩を揺り動かして
今の解決策を
説明させていただきました。
お釈迦様は
「あー、なんだ、アーナンダ。
そういう手がありましたか。
あなたは、じつに賢いのですね」
と満面の笑顔でございます。
お釈迦様、
さむいダジャレなんか言っている場合じゃ
ございませんのですよ。
「それでは、
さっそくその三界を造成してくれますね?」
私は、
お釈迦様が私の立案に
ご賛同なされたことに
たいへん感激いたしました。
「私どもの極楽には
生前、宅地造成や建築関係の天才
といわれた霊が何万も滞在しております。
三界など一日で完成できましょう」
「アーナンダ君、頼みますよ。
タイムリミットは近づいています」
私は、さっそくテレパシーで
エキスパート達に指示を与え
23時間52分で三界を完成させ
お釈迦様にそれぞれの世界の説明を
させて頂きました。
そして、お釈迦様とともに
視察の旅に出発したのでございます。
まず畜生道です。
私は右手の人差し指で天空を指し
「畜生道にテレポーテーション」
と叫びました。
すると、あたりの風景がたちまち変わり
お釈迦様と私は
広大な草原に降り立ちました。
みずみずしい草が
微風にゆらゆらと揺れております。
遥か彼方には深い森が広がっており
様々な鳥が飛び交っているのが見えます。
「あの森の中には様々な畜生どもがいて
弱肉強食をしているのでございます」
ところがお釈迦様は
牛がお気に召されたご様子でございました。
「牛はいいですね。
牛になれば自分の乳で
いつでも乳粥が食べられるのですよ。
思い出します。
悟りに達したあと
衰弱しきったわたくしに
スジャータという少女が
毎日、乳粥を運んでくれました。
あの少女はちゃんと極楽にいますか?」
「はい。彼女は天寿を全うしたあと
極楽で幸せに暮らしております。
マイナンバーは
0120-007-0011-177-0041
でございます」
「そうですか、やさしい女性でしたからね」
お釈迦様は懐かしそうな笑顔を
お見せになりました。
「しばらく牛になりますので
アーナンダ君、
待っていてください」
そのようにおっしゃると
お釈迦様は額からまばゆい七色のビームを
出してたちまち牛になってしまわれました。
そして、牧草の草を散々食べたあとで
ごろりと横になって
グーグーと眠ってしまわれました。
「お釈迦様、
どうかお目覚めになってください。
牛が横向けに倒れていても
これが『釈迦涅槃像』だとは
誰も信じることができません」
小一時間ほどお眠りになったあと
お釈迦様はお元気を取り戻されたご様子で
お目覚めになられました。
そして、ふたたびもとのお姿に戻られました。
「お釈迦様はかなりお疲れだったのですね」
「もう大丈夫です。
さあ次はどのような世界ですか
アーナンダ君」
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