設定厨と物語厨は分かり合えるのだろうか〜二つの『厨』の違いを面白おかしく語る〜

☄️星拾いの旅人✨️

第1話 設定厨と物語厨は手を取り合って共生しよう♪

異世界で古来より争っている二大勢力といえば人類と魔物だが、創作界にも似たような戦争がある。


設定厨と物語厨による争いだ。


設定厨は「世界を作ること」に命を懸けている。物語を書こうとしていたはずなのに、気づけば国家予算を組んでいる。


私には設定厨の友達がいる。


「魔力の供給源がね……王家の家系図がね……」

いや知らん。


「魔法体系を整理する」と言って三日後に電力会社の送電図みたいなチャートを完成させていたこともあったな。



設定厨一人ならまだしも、二人集まればもうカオスである。


設定厨A「この国の魔法って、個人の魔力量より供給網の整備が大事なんだよ」

設定厨B「あーわかる。魔力ってエネルギーだから、そもそも税金かかるよね」

設定厨A「そうそう。だから貴族が魔力独占してて………」

設定厨B「その格差が革命の火種になるんだよな。で、魔力の単位は何にする?」

設定厨A「ミリアルド。1ミリアルド=中級魔法一発分」


個人の魔力量より供給網の整備……は?


てか、ミリアルドってなんだよ。めちゃくそどうでもいいやん。



これが、設定厨である。たぶんメガネ率8割くらいである。



一方の物語厨は、勢いの生き物だ。


「キャラが動いた瞬間が至高!」と燃え上がり、気づけば地理も距離感も無視してキャラが三日で大陸横断。


地形も法律も文化も知らん! 感情が正義!


勢いで三話投稿して、燃え尽きて五話目で失踪。なんか全部早い。


物語厨A「でさ、主人公が雨の中で叫ぶの! “なんでお前がいないんだ!”って!」

物語厨B「いい、それ泣ける。で、その後すぐ再会?」

物語厨A「いや、そこで再会したらチープじゃん! もっと焦らす!」

物語厨B「二章分くらい?」

物語厨A「二章どころか三年後だよ。再会したけど、相手は恋人いるの」

物語厨B「最低すぎて最高!」

物語厨A「で、主人公、笑って“幸せならいい”って言うけど、泣いてる」

物語厨B「その涙、雨かもしれない…いや、雨じゃないかもしれない…」



ああ、そうですか。



これが物語厨。メガネ率は、1割といったところか。(※個人の感想です)




短期で伸びやすいのは物語厨だろう。

感情に訴える話はバズりやすい。

ランキングの波に乗って一気に読者が増える。でも燃え尽きやすい。真っ白に。



長期で信頼されるのは設定厨寄り。

地盤がしっかりしてるから、シリーズ展開や世界観ファンがつく。

ただ、初動は地味。地味に死ぬほど時間かかる。



感情の火をつけるのが物語厨、

その火が燃える薪を用意するのが設定厨。

火だけでもダメ、薪だけでも燃えない。


火を強くしすぎれば薪が燃え尽き、いくら薪を増やしたところで火を強くしなければ意味がない。


キャンプを盛り上げるには、どちらもいい具合に必要である。



設定厨から見ると、物語厨は「ノリで整合性ぶっ壊す人たち」。


「その魔法、昨日まで鳥の糞みたいな火しか出せなかったのになんで1日で魔王城壊滅させてるんだよ」と頭を抱える。


「設定軽視は怠慢だろ」って思う。


逆に物語厨から見ると、設定厨は「書かない人たち」。

「感情動かさなきゃ世界も死んでるよ!始めようぜ、お前の伝説を!!」って突っ込む。



で、両者の戦いは、たぶん今日もどこかの創作掲示板で続いている。


スレッドタイトルはだいたいこうだ。


「【悲報】設定厨さん、また設定しか書かない。いいかげん物語書け。はよ書け」


「【朗報】物語厨さん、また泣けるけど意味がわからない」


後者は朗報なのだろうか。


お互いに相手を見下しながら、心のどこかでちょっと羨ましがっている。


設定厨は思う。

「どうしてあんな勢いで書けるんだ、こいつらバカなのか。羨ましいッ!」


物語厨は思う。

「どうしてそんな緻密に積み上げられるんだ、頭おかしいだろ!尊敬するッ!」



なんだこいつら、ツンデレか。



物語は心で動き、設定で立つ。

どちらが上でも下でもない。

感情の爆発も、理屈の積み上げも、たぶん、創作の醍醐味だ。


私はどちらかというと物語厨側だったのだが、最近は設定厨に片足を突っ込みかけている。



そのうちまた、物語厨の友人が言うだろう。

「お前、また税率考えてんの? もっと泣ける展開にしろよ!」


──うるせえ!今は魔力課税制度が崩壊してんだよ!


……ん、魔力課税制度ってなんだっけ……?



長々と語ってきたが、つまり、私が言いたかったことはこれである。



創作における最善とは――――


自分の中の物語厨と設定厨が殴り合いながら抱き合う状態である。(?)


物語厨と設定厨がプロレスをしながら「ちょっと力入れすぎちゃったかな……」と互いを労ることである。(?)



……いや、私が言いたかったことはこんなことだったのだろうか。


設定を考えずに、物語厨精神で書き上げたため「結局なんだったんだコレ?」案件になってしまったことを深く反省している。





……あ、最後に宣伝しておこう。


是非、他の物語も読んでみてね♪


『クールで男嫌いな高嶺の花が義妹になったら、俺にだけ甘々にかまってきて可愛い。』

https://kakuyomu.jp/works/16818792439277009389

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