違法武器基地の殲滅

灰色のクラシックカーが橋の中央を走っていた。太陽の光に照らされ、エンジンの音が反響する。サマイは車の窓から外を覗き込み、頬をガラスに押し当てた。

「はぁっ、マサヒト様、どうして私がこんなに苦しい任務をやらなきゃいけないの?!」とは苛立ちながらため息をついた。

苛立ちの視線は、向かいの車にいる老人に向けられていた。白髪の老人は、半分開いた窓越しにケンの声を聞きながら、優雅に座っていた。


老人はスマートフォンをいじり、すぐにケンの車の運転手が返信した。

「今回の任務は、私の個人的な実験のためだ」とスマホを見ながら言った。

ケンは顔をしかめた。「またかよ!この前だって武器なしで任務をやらされたんだ。いったいどんな実験なんだ?」と不満げに言う。

向かいの老人は薄く笑って窓を閉めた。ケンは舌打ちした。

「まったく、あのジジイ、また他人を自分のくだらねぇ実験に巻き込みやがって。いつも通りだ」と心の中でつぶやき、スマホをズボンのポケットに入れ、頭をもたげて外を見た。マサヒトの車はすでに去っていた。


晴れた空の光がケンの青い瞳を照らし、彼の視線は鋭く空を見上げた。

車が止まり、ブレーキの音が響いた。ケンは顔を向けた。

「もう着いたのか?」と心の中で冷たくつぶやく。

ケンは車を降りた。執事服を着た老人が彼の前に現れた。

「ご任務の成功をお祈りしております、ケン様」と深く頭を下げる。

ケンは彼の肩を軽く叩き、目を細めて遠くに見えるリクの背中を見つめた。


リクはスマホを見ながらにやりと笑った。背後から足音が聞こえると、振り向いた。

「あっ、ケン!」と嬉しそうに声を上げた。

ケンは答えた。「よう、リク!なんか機嫌いいな、どうした?」と薄く笑った。

リクは眼鏡を直した。「あのね……『ゴッデスフォース』で星5の『ヴィリナ・ウォーター・ゴッデス』を引いたんだ!」と誇らしげに笑った。


ケンは眉を上げた。「ほぉ、Sランクキャラか。運がいいじゃねぇか」

リクは小さく笑った。

ケンの笑みはすぐに消えた。「それで、任務の詳細はどうなってる?」と冷たく尋ねた。

リクは眼鏡を押し上げ、にやりと笑い、レンズが光った。

「さぁな。ただ『この場所を破壊しろ』って言われただけだ」

彼はそう言って、灰色の壁と青いガラス、いくつかのオレンジのラインで構成された巨大な建物を見上げた。


暗い部屋の中、青いモニターの光に照らされた人物がいた。整った首までの髪、眼鏡、茶色の目。

その男は複数のコンピュータを操作していた。

彼は小さく笑った。「今回のプロトタイプが成功すれば、俺は昇進だ!俺のプロトタイプ、ヒューマノイド殺戮兵器コードE5-P4、必ず最高の兵器になる!さらに、これは古代に滅んだ存在を蘇らせるためのデータにもなる……そしてその力も……ムハハハハ!」と目を見開いた。


突然、警報が鳴り響いた。

非常灯が点き、部屋は赤い光で満たされ、耳をつんざくような警報音が鳴った。

男は驚いた。「何が起きた?」と心の中でつぶやいた。

彼はゆっくりドアへ向かい、開け、警備員の一人に尋ねた。「おい、何が……は?侵入者だと?」と、囁かれた言葉に目を見開いた。

彼は暗い廊下の方を睨みつけ、苛立った表情を見せた。


広い部屋の中、弾丸が四方に飛び交い、鏡などが破壊されていた。

「ハハハハ!叫べ叫べぇ!おい、リク、どこ行ってた?トイレか?運が良かったな、まだ全員殺してねぇぞハハハ!」とケンが叫んだ。

リクはため息をついた。「まったく、狂ってる……別に殺さなくてもいいのに」と心でつぶやいた。


警備員たちを片付けた後、彼らは倉庫にたどり着いた。

ケンは言った。「じゃあ、あとは壊すだけだな。よし、これを使おう」と、ポケットから数字が表示された丸い装置を取り出した。

リクはケンの頭を叩いた。「爆破するな!」

ケンは頭を押さえた。「いってぇ、なんでだよ?」

リクは言った。「言い忘れてたけど、俺たちの任務は破壊だけじゃなく、彼らの研究を調べることでもあるんだ。お前が選ばれた理由もそれだ。武器マニアのあんたなら、触るだけで構造が分かるだろ?」と皮肉っぽく笑った。


ケンは親指を立てた。「当然だ!一目見りゃ分かるさ。……素手で破壊するってことか?」

リクは眼鏡を押し上げた。「そう、その通り。この倉庫の全ての武器を」

ケンは目を見開いた。「はぁ!? 全部だと!?」と、倉庫中を見回した。

「そう、全部だ。じゃあ頑張れ」と言って扉を開け、外に出た。

「おい!置いてくなよ!」とケンが叫んだが、扉は閉じた。


ケンはため息をつき、「仕方ねぇ、さっさと終わらせるか」と呟きながら、大きな銃を手に取った。

銃の内部を開けると、ケンの目が見開かれた。

「この武器は……」

「まだプロトタイプだな。構造がめちゃくちゃだが、機能と威力はすさまじい。弱点は数カ所あるが、それでもこれを作れる人間は……」

彼はぼそりと呟いた。「金持ちに違いねぇ!」と叫んだ。


「素材も高級そうだ。金さえあれば完璧にできるのに!」と叫びながら銃を分解し、部品を積み上げた。

調べているうちに、奇妙なロゴと文字を見つけた。

「C-ANTI RULE……これが武器の名前か?力を表してるな……でもこのロゴ、針と丸……謎だな」と考え込み、しばらく見つめたが、その後放り投げた。


彼は次々と武器を分解していった。最後の武器にたどり着くと、「ふぅ……どれも似た構造だが、本当に強力だな」と言って、分解した部品を山に投げた。

目を上げると、蜘蛛の巣だらけの箱があった。

「なんだこの箱?使われてなさそうだが、武器倉庫にあるってことは中身は武器か?」と呟き、箱を開けた。


中には、中央に赤い石がはめられたシンプルなナイフが入っていた。柄には包帯が巻かれ、刃は青緑色に光っていた。

ケンは息を呑んだ。「この武器……シンプルだが完璧だ。どうしてこんなに完成されてるんだ?」と顎に手を当てた。

彼はにやりと笑い、刃を逆方向に引いた。柄、刃、そして石が分離した。

「ハハハ、面白ぇ!どう見てもただのナイフだが……この赤い石は違うな」と言い、石を掴んだ。


石を持ち上げ、光に透かして見た。中には目に見えないエネルギーの塊があった。

「……テレア・エネルギーか?テレアは全ての『ペネガク』武器に宿るエネルギーだ。俺はインツァもペネガクも持ってねぇが、これはかなり有用そうだ!」と心で呟き、石を握りしめた。


突然、ケンの目が見開かれ、胸が締め付けられた。石を落とし、胸を押さえた。息が荒くなり、目が赤くなった。「ぐっ、なんだこれ……!うぐっ!」

体から電撃がほとばしった。


さっきの茶髪の男、エドワードは苛立ちながら倉庫へ向かっていた。

「くそっ!侵入者め、ERAを侮辱しやがって!目的は倉庫の武器『アンチルール』だな。俺の完璧な創造物に触れたら許さんぞ!」と怒りの中で呟いた。

彼は鍵のかかっていないドアを開けた。「おい侵入者、俺の創造物に触れ……」

エドワードは目を見開いた。


目の前には、強大なエネルギーに包まれたケンが立っていた。その力は部屋を震わせ、風を巻き起こした。

ケンはエドワードを鋭く見つめた。立ち上がると、エネルギーが消えた。

「ハハハ、これがインツァってやつか!体の中に力が流れてる!」と叫び、エドワードに突進し、その頭を掴んだ。


瞬間、血しぶきが辺りに飛び散り、廊下は鮮やかな赤に染まった。

ケンは自分の手を見つめた。「あぁ……インツァを得ただけじゃねぇ、身体能力も十倍は上がってる!最高だ!」と拳を強く握った。

倒れたエドワードを見下ろし、その名札を見た。「ほう……『人工人間兵器研究員』か……面白ぇ」と笑みを浮かべ、目を輝かせた。


ケンはエドワードの私設研究所の地下室にたどり着いた。「ここか……」と呟き、盗んだカードで扉を開けた。

ゆっくりと扉が開き、ケンの目に飛び込んできたのは、巨大なカプセルだった。

そこにはこう記されていた――


コード E5-P4


――つづく――


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