第19話 第11章 後編 共鳴せし光

📖『黒き封印』第11章 後編


共鳴せし光



Scene 74 崩壊の序曲


爆風が晴れ、瓦礫の中に立つノネムの姿があった。

その身体は深手を負いながらも、なお異様な気配を放っている。

だが――ガロウの姿は、もうどこにもなかった。


ノネム

「……小癪なマネを……」


ミサキ

「……そんな……」


活月見

「……バカもんが……」


シンは言葉を失い、拳を強く握りしめる。

その瞳の奥に、怒りの炎が燃え上がっていた。


ノネムはうずくまるソルヴェンを見下ろす。


ノネム

「目障りだ……どけ‼」


蹴り飛ばされたソルヴェンの身体が、シンの足元まで転がる。

仮面が割れ、血に濡れた素顔がのぞいた。


シン

「ソルヴェン‼」


ソルヴェン

「……兄上……」


その一言を残し、静かに意識を失う。


ノネム

「心配するな……お前達もすぐに、あの犬死にの戦士の後を追わせてやる。」


ミサキが震える。

シンも怒りを押し殺しきれず、今にも飛び出しそうになる。

だが――活月見が二人の前に出て、手で制した。


活月見

「お前達には、あいつを封印する役目がある。……きっかけは、アタシがつくるよ。」


ノネム

「恐怖で気でも狂ったか? 老術師一人で何ができるというのだ。」


活月見

「……訂正しろ。」


ノネム

「何だと?」


活月見

「訂正しろと言ったんじゃ‼ 犬死にの戦士じゃと⁉ ガロウの行動を無駄にはさせないよ‼」


その声が響いた瞬間、活月見の魔力が爆発的に膨れ上がる。

老いた身体が若返り、黒髪が風に舞った。

その手には、眩い光を放つ釈丈(しゃくじょう)が握られている。



Scene 75 光と闇、終極


ノネム

「ほう、中々の魔力だが、所詮私の敵ではない。」


活月見

「アンタの術は魔法に対する冒涜だ! そんな邪な力には負けてられないよ‼」


釈丈を掲げる。

雷の奔流が大地を駆け、空気が震える。


活月見

「術式・雷──《裁雷衝(じゅつしき・らい・さいらいしょう)》‼」


閃光が走り、祠の壁や天井を粉砕してノネムへと迫る。

ノネムも負けじと、漆黒の炎を放った。


ノネム

「暗黒魔法──《極・黒炎(きょく・こくえん)》‼」


雷と炎がぶつかり合い、天地を裂くような轟音が響いた。

光と闇の奔流が祠を包み込み、地面が軋む。


シン

「……これが、“本物の術士”の力……‼」


活月見

「ふん……まだまだァッ‼」


釈丈を地に突き立て、足元に複雑な魔法陣を展開。

雷の紋が円環を描き、幾重もの雷槍がノネムへと放たれる。


ノネム

「フハハハッ! 愚かな‼ 闇は光を喰らうものだ‼」


黒炎が雷槍を飲み込み、逆にその力を吸収していく。

ノネムの身体が巨大化し、黒き翼が天井を突き破った。


活月見

「なっ……魔力を吸っているだと⁉」


ノネム

「見せてやろう、光を喰らう“真の闇”をッ‼」


闇の奔流が爆ぜ、活月見の結界を粉砕。

咄嗟に釈丈で受け止めるが、爆風に吹き飛ばされた。


活月見

「ぐっ……ぬぅぅぅっ‼」


石壁に叩きつけられ、瓦礫が雪崩れ落ちる。

釈丈が転がり、鈍く光った。


シン

「活月見‼」

ミサキ

「活月見さん‼」


ノネム

「終わりだ、老いぼれ‼」


活月見

「老いぼれか……ふん、そうかもねぇ。だけど、その老いから逃げ、人間をやめたあんたに言われる筋合いはないね! 喰らいな‼」


釈丈を掲げ、雷を呼ぶ。


活月見

「術式・終雷──《神鳴(じゅつしき・しゅうらい・しんめい)》‼‼」


天を裂く雷柱がノネムを襲う。

だがノネムも全力をぶつけ返した。


ノネム

「暗黒魔法──《混沌の崩壊(カオス・ブレイク)》‼‼」


光と闇――二つの極が衝突。

世界が裏返ったような轟音と閃光が走り、祠全体が震動する。


シン

「くっ……‼ 立っていられない……!」

ミサキ

「風圧が……すごい……‼」


次の瞬間、闇が光を呑み込み――


ドガァァァァァン‼‼


爆風が祠を薙ぎ払い、

活月見の身体が宙を舞い、背後の石壁に叩きつけられた。

瓦礫が崩れ、釈丈が転がり落ちる。


ノネム

「フン……終わりだ。これが人間の限界だ。」



Scene 76 共鳴せし光


ノネム

「さあ、今度はお前達の番だ、光の騎士よ……!」


黒き翼を広げ、シンたちへ歩み出そうとする。

だが――足が動かない。


ノネム

「……? なに……動けぬだと……?」


足元に淡く光る陣が展開していた。

封印の紋章――それは、瓦礫の中から立ち上がる活月見の仕掛けだった。


活月見

「術式・連──《封魔陣(じゅつしき・れん・ふうまじん)》‼」


ノネム

「貴様……! さっきの魔法は……!」


活月見

「囮さ……あれは“鍵”を作るための布石……こっちが本命だよ‼」


釈丈を地に突き立て、震える身体で最後の魔力を注ぎ込む。

光の輪がノネムの足元に広がり、黒い魔力を拘束していく。


活月見

「今だよ、シン‼ ミサキ‼」


シン

「ミサキ‼」

ミサキ

「うん‼」


二人は並び立ち、互いの光を合わせる。

光が交差し、やがて一つの輝きとなる。


シン

「我、光の使命の元に……!」

ミサキ

「ここに闇を封印する‼」


シン・ミサキ

「眠れ、闇よ!!」


シン・ミサキ

「究極破邪呪文──《ミナトール》‼‼」


天を貫くような光が放たれ、ノネムを包み込む。

その光は二人の心が共鳴した証――“二人で一つの封印”が発動する。


ノネム

「おのれぇ……人間共がァァァ‼‼」


光と闇が再び激突。

だが、今度は光が押し返す――強く、確かに。


活月見の術が輝きを増し、封印の紋がノネムを拘束していく。

倒れた仲間たち――ヴィクション、蓮華、ソルヴェンの“光の残滓”が、

まるで彼らの意志のように、二人の周囲を取り巻いた。


シン

「終われぇぇぇッ‼‼」

ミサキ

「消えてぇぇぇッ‼‼」


ノネム

「フハハハ!! 我がここで消えようとも……人間がいる限り……闇は消えぬのだッ‼‼」


その咆哮を最後に、ノネムの身体は光の中に溶けていった。

やがて、その輪郭すら消え――光が収束する。



Scene 77 封印、そして静寂


残されたのは、静かに光る“封印の壺”だけだった。

祠を満たしていた闇は霧散し、静寂が戻る。


シン

「……やったのか……」

ミサキ

「……終わったのね……」


“封印の壺”は台座の上で淡く輝き、

まるで「今度こそ眠らせてくれ」と語るように脈打っていた。


活月見は壁に背を預け、息を整えながら小さく笑った。

活月見

「……黒き封印、再び……か。まったく、歳は取りたくないもんだねぇ……」


ミサキはそっとその光を見つめ、涙を拭った。

シンの肩に寄り添いながら、囁く。


ミサキ

「……みんなの想いが、ここに……」


外の空から、一筋の光が崩れた天井を通して差し込む。

その光が“封印の壺”を照らし、

戦いの終わりを告げるように、静かに祠の中を満たしていった。


──黒き封印、再び鎮まる。




※本作はAIアシスタントの助言を受けつつ、作者自身の手で執筆しています。(世界観・物語は全て作者オリジナルです)

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