第17話 第11章 前編 顕現せし闇
📖『黒き封印』第11章 前編
「顕現せし闇」
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Scene 59 アジト出発・決戦の朝
夜明け前。
青黒い空の下、湿った風がアジトの周囲を撫でる。
静かな空気の中、戦士たちは武器を手に取り、互いの視線を交わした。
活月見が杖を軽く突き、静かに告げる。
活月見
「さ、出発だよ。今日で決着をつける。」
その言葉に誰も声を発さず、ただ力強く頷く。
緊張感の中、一行はアジトを後にした。
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Scene 60 森道中・ソルヴェン現る
森は濃い霧に包まれ、湿った土の匂いが漂う。
木々が風に揺れるたび、不気味な軋みが響いた。
仲間たちは慎重に足を進め、無言のまま周囲を警戒する。
突然――
蓮華
「……誰だ!」
鋭い声が森に響く。
瞬時に放たれた苦無が木陰を裂き、金属音を響かせて弾かれた。
ソルヴェン
「安心しろ。敵として現れたつもりはない。」
低い声。
霧の奥から現れたのは、黒いマントを纏った男――ソルヴェンだった。
仮面の奥の視線は冷たく、場の空気が一層張り詰める。
ソルヴェン
「奴はこの先にいる。」
ガロウが大斧の柄に手を置き、鋭い視線を送る。
ガロウ
「……信用していいんだろうな?」
活月見は目を細め、穏やかに答えた。
活月見
「おそらく大丈夫じゃろう。」
ソルヴェンは無表情のまま剣の柄に手を置き、低く告げる。
ソルヴェン
「もし、私が妙な動きをしたと思えば――いつでも斬るがいい。」
張り詰めた沈黙の中、覚悟のこもった言葉に誰もが息を飲む。
ソルヴェン
「……時間がない。急ぐぞ。」
その一言で全員の緊張感が一層増し、誰も余計な言葉を挟まず足を速めた。
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Scene 61 祠突入・封印崩壊
森を抜けると、そこにあったのは朽ち果てた石造りの祠。
崩れた石段、禍々しい黒霧、鳥の声すらしない静寂。
シン
「……ここか。」
祠の壁に走る赤黒い紋様は脈打つように明滅し、封印の弱体化を示していた。
活月見が杖を突き、険しい表情を浮かべる。
活月見
「……封印の力が弱まっているね。」
黒い扉を押し開けた瞬間、冷気が吹き抜けた。
内部は薄暗く湿った空気に包まれ、石の祭壇を淡い光が照らしている。
中央の祭壇には巨大な魔法陣が刻まれ、圧倒的な魔力が漂っていた。
ヴィクション
「……嫌な気配だな。」
剣を握る手に力を込める。
ガロウ
「全員、気を抜くな。」
やがて――
古びた封印壺が音もなく宙に浮き、周囲の術式がひとつ、またひとつと砕けていく。
活月見
「……始まったな。」
呟きと共に、黒い霧が祠全体を覆い始めた。
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Scene 62 現界せし闇、ノネム顕現
術式の砕ける音が止まらない。
祠の結界は限界を迎え、空間そのものが軋む。
黒霧が吹き荒れ、内部は闇に呑まれていく。
ミサキは思わず足を止め、息を詰まらせた。
ミサキ
「……っ!」
圧倒的な闇の気配に、全身が硬直する。
その存在はただ立っているだけで魂を凍らせるほどの圧を放っていた。
シン
「ミサキ、大丈夫か!?」
シンが駆け寄り、肩を支える。
ミサキは小さく頷いたが、その顔色は蒼白だった。
その時――
封印壺から立ち上る瘴気が“人の形”を作り始めた。
現実ではあり得ないほど濃密な闇の影。
それは徐々に輪郭を帯び、一人の人物として地面に立った。
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Scene 63 顕現・ノネム
祠の空間はもはや祠ではなかった。
砕けた術式の破片が宙を舞い、闇の中に“黒き支配者”が静かに現れる。
フードを深くかぶり、灰と紺を基調とした儀礼服を纏う男。
装束の紋様は生き物のように脈動し、ただ“そこに立つ”だけで空間が歪む。
ソルヴェンが剣を握り、怒りを押し殺す声を漏らす。
ソルヴェン
「……おのれ。兄を……バークレーを……貴様が……!」
ノネムは動かない。
だが確かにこちらを見ている。
全員の背筋に冷たい汗が伝う。
活月見
「……これが、真のノネム……?」
次の瞬間、ノネムが一歩前に出た。
地面が砕け、空気が振動する。
ガロウ
「っ、ヤバい! 来るぞ‼︎」
ガロウの叫びと共に視界が暗転。
ノネムの瞳が妖しく光った。
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Scene 64 黒き支配者、動く
ノネムがわずかに指を動かす――
それだけで空間が震え、黒紫の魔力が奔流となり全体を薙ぎ払った。
重力と斬撃が複合した**「暗黒魔法・爆雷」**。
その威力は、まさに黒き支配者の宣告だった。
ヴィクション
「みんな、下がれ‼️我が魔法力よ、最大限に高まれ‼️」
剣を突き立て、魔力を解き放つ。
「プロテクション・フィールド‼︎」
床に巨大な魔法陣が浮かび、仲間たちの前に光の障壁が展開される。
轟音。衝撃波が障壁を叩きつけ、結界が軋み悲鳴を上げた。
剣が折れ、鎧が砕け、巨体が宙を舞う。
柱に叩きつけられたヴィクションは血を吐きながらも、剣を支えに立ち上がろうとする。
ヴィクション
「ぐっ……、む、無念……」
その手から剣が滑り落ち、膝が崩れ――
静かに意識を手放した。
シン
「ヴィクション‼︎」
活月見(素早く結界を張り直し)
「……重症だ、下がらせな。」
戦場の空気が凍り付く。
頼れる盾が、一撃で沈んだのだ。
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Scene 65 蓮華の視線
蓮華は冷静に戦況を見つめ、頭の中で分析する。
指先がわずかに震えていた。
それでも、目は闇を射抜くように鋭い。
蓮華
「これは……ただの攻撃じゃない。“間”を潰してる。」
ノネムは戦場そのものを掌握し、
シンとミサキを光の騎士に変化させないために動いていた。
蓮華(小さく息を吐き)
「……このままでは……」
小さな声が張り詰めた空気を裂く。
仲間たちが視線を交わし、戦場が再び動き始めた――。
※本作はAIアシスタントの助言を受けつつ、作者自身の手で執筆しています。(世界観・物語は全て作者オリジナルです)
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