アナタとの距離をもっと〜お兄ちゃんは兄様に〜
兄様が一歩も外に出ず、部屋に引きこもるようになったのは、今から一年前のこと。
当時の兄様は、今とは違い友達がおり、毎日文句を言いつつも学校に行く人でした。
学校での兄様がどんな様子かは知りませんが、時々話を聞くに楽しくは過ごしているみたいでした。
そんな兄様がなぜ家から出ず、学校にも行かず、誰も信じられなくなったのか。
それは、兄様の友達の一人が、イジメを受け始めたのが始まりでした。
兄様の友達は、理由は分かりませんがクラスの皆から無視されるようになったみたいです。
仲の良かった友達からもです。ですが、そんな中で兄様だけは、友達の味方となり、唯一無視しない存在でした。
勿論、周りはそれを面白くは感じなかったでしょう。
それから二ヶ月程経った頃でした、いつも通り兄様が教室に行くと、机に落書きがされていたみたいです。
ですが、兄様はいつかはこうなるとは感じていたようで、あまり気にしなかったみたいです。
しかし、そんな中で裏切りは起こりました。
あの無視されていた友達が登校してき、兄様はいつも通り挨拶すると、いつもなら元気なく挨拶を返すはずなのに、その日は返して来なかったみたいです。
兄様は、いつもよりも元気がないのだろうと思い、特に気にしませんでした。
しかし、休み時間に話掛けるも反応は無く、お昼休みに一緒にお昼ご飯を食べようとしても反応はなく、帰りも反応はなく、結局その日は一度も話すことはありませんでした。
それからでした。その日以降も友達は、兄様を無視し続け、なぜか他の友達からも無視されるようになり、クラスの人たちからも、無視されるようになりました。
兄様は、気付きました。次のターゲットは自分になったのだと。
イジメられっ子を助けたら、今度は自分に返ってくる。よくある話です。
ですが、兄様は、そのことは気にならなかったですが、元イジメられっ子であった友達の味方をしていたのに、その友達が裏切ったことに少し苦しさを覚えたみたいです。
自分だけプリントを飛ばされ、ノートを配られず、回収されず、移動も何も教えてくれず、兄様は孤独になりました。
それもあり、兄様は段々不登校気味になっていき、ついに学校には行かなくなりました。
両親も最初こそは、心配していましたが、仕事が忙しくなっていき、兄様を放置することが多くなっていき、ついに兄様は部屋からも出てこなくなりました。
心配になった私が声を掛けようと、ドアをノックすると、思いっきりドアにモノを投げつけ、入って来るなと乱暴な意思表示をしました。
「お兄ちゃん」
当時の私は、兄様のことをまだお兄ちゃんと呼んでいました。
なぜ、今の兄様呼びになったのか。その頃の兄様は、皆が寝静まった頃に部屋から出て、こっそりとお風呂に入っていました。
それを知っていた私は、夜更かしをし、兄様がお風呂に入るのを待ち、入ったのを確認してからこっそり兄様の部屋に忍びこび、何か部屋から距離を縮めるヒントはないかと探しました。
すると、パソコンの画面が点けっぱなしになっており、そこには実の妹と兄が兄妹以上の感情を抱き、キスするシーンで止まっていました。
最初は驚きましが、もしかしたら、これが何かのヒントになるかもしれないと思い、なんとかタイトルを調べ、それについて私は調べました。
すると動画配信サイトにそのゲームの実況をしている人がおり、その人の動画を見て私は勉強しました。
そうです、そこに出てくる妹こそが兄のことを『兄様』と呼んでいたのです。
そこに出てくる兄も朝が弱く、少し起こしただけでは起きず、そこで妹はキスして起こすようになりました。すると、自然と兄は起きるようになりました。
そして、あらかた調べて内容を理解し、早速行動に移しました。
まずは料理を作れるようには頑張りました。次に掃除や洗濯なども頑張り、家事は一通りできるようになりました。
私は、初めて兄様にご飯を作りました。
「おに……兄様、ご飯を置いておきますね」
兄様は、部屋から出て来ないので、こうして作ったご飯をお盆に置きラップをして、部屋の前に置いておきます。
「…………」
その時は特に反応はありませんでした。ですが、それを続けていたある日、いつものように兄様が食べた食器を回収しに行くと、そこに一枚の紙が一緒に置いていました。
『なんで、呼び方が変わっているんだ』
まさか、兄様から手紙をくれるなんて思ってもおらず、私は嬉しくなりました。
「兄様!」
「…………」
ですが、手紙を貰っただけで、実際には反応はありません。
だけど、兄様と空いた距離が少し近付いたような気がしました。
「あ、そうだ、お返事を書かないと」
『今ハマっているアニメの妹が、兄を兄様と呼んでいたので、私もマネしているだけです』
と言う内容の手紙を一緒にお盆に乗せて置きます。
正直に部屋に入って知りました、なんて言えば、それこそ本当に部屋から出て来なくなりそうなので、誤魔化しました。
翌日も食器を回収しに行くと、また手紙がありました。
『そう』
と、たったの二文字でしたが、文通しているようで、私は楽しかったです。
ですが、ここで調子に乗って、一方的に手紙を送り続けても、せっかく近付いた距離もまた遠くなってしまうので、我慢しました。
日々は過ぎていき、父が海外に赴任することになり、お義母さんもそれについて行くことになり、実質兄様との二人暮らしになりました。
『兄様、お父さんとお義母さんが海外へ行き、今日から私と兄様だけになりました』
と念の為、兄様に報告の手紙を送っておきました。すると、その日に返事は返ってきました。
『なぜ、お前も行かなかった?』
なぜと聞かれれば、答えは当然決まっています。ですが、その返事を手紙で伝えても、伝えきれないと思いました。
それに、もう少し兄様との距離を縮めたいというのもあり、また私は行動に出ました。
「兄様、今日も置いておきますね。それから、お手紙のお返事ですが、兄様と一緒にいたかったからです。一人は寂しいじゃないですか」
伝えたいことを伝え去ろうとしたら、ガチャっとドアが開く音がしました。まさか! と思い振り返ると、そこには、何ヶ月振りかに見た兄様がいました。
久しぶりの姿は、髪は伸びっぱなしでボサボサになっており、無精髭が生え、全てを諦めたかのような目をしており、その目の下には隈ができており、以前までの兄様の姿はそこにはありませんでした。
だからと言い、がっかりすることも期待を裏切られたような気持ちにもなりませんでした。
「兄様……出て来てくれたんですか?」
「……別に……そんなじゃない」
「ふふ、そうですか。ご飯置いておきますね」
正直に言えば、もっと兄様とお話をしたいです。ですが、せっかく出て来てくれたのに、ここでしつこく迫れば、また部屋に入ってしまうと思い、私は引きました。
振り返り、階段を降りようとしたら、ボソッと聞こえてきました。
「……いつも、ありがとう」
「っ!! 兄様」
「っ! じゃっ!」
と、慌てて部屋に入って行きました。
心なしか、以前の兄様の幻影が見えました。
「兄様……。ふふ、気にしないでください。私が好きでしていることなので」
一気に距離が縮まったような気がしました。何ヶ月振りかに見た兄様に、私の心臓はずっとドキドキしていました。
最初は、どうすれば兄様が部屋から出て来てくれるかを考えて始まった行動でした。
しかし、いつしか兄様が、どうすれば喜んでくれるか、どうすれば距離を縮めてくれるか、どうすれば私を見てくれるか、どうすれ私のこと少しでも意識してくれるか。気付けば、私は義理の兄に恋をしていました。
〜〜〜〜〜
焦らさず、早くエッチな話をみせろって?
そう急かさなくても、次回エッチな展開あるよ
どんなのかは、お楽しみに
今更だけど、自分で話のハードルあげてる気がする……
うん、まあ……たぶん、それなりにエッチだと思います
期待して、期待し過ぎずに
今日の夜か明日投稿すると思う
では、また!
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