不登校兄妹〜兄様、私はずっと一緒にいますよ〜
冬雪樹
兄は白雪姫、妹は王子〜目覚めはキスで〜
「……さい。……起きてください」
朝、誰かが俺を起こす声が聞こえる。
しかし、起きようとするも、まだ目は眠たく、瞼が開かない。
開かないものは仕方ないなと、起きかけた意識をもう一度夢の中へ落とそうとした時、唇に何かを押し付けられ、それは柔らかい感触だった。
唇を塞ぐ謎の柔らかいものは離れることなく、段々と息が苦しくなってき、そこで俺の意識は一気に目覚めた。
重かった瞼を開く、そこには俺の妹……いや義理の妹――夜空
「んんんん!!」
「んっ……ようやく、起きましたか、
「はぁーはぁー。貴様は俺を殺す気か!」
「嫌ですね、兄様は。月華が愛しの兄様を殺すわけないじゃないですか。いつも兄様は、私にキスをされないと起きれないから、していますのに」
「いや、別にキスされなくても起きるよ」
というか、キスと言うより、命を危険を感じていつも起きてんだよ。
俺は朝が弱い。月華の言う通り、一度二度声を掛けられた所で起きることはない。
だから、毎朝、月華は俺を起こす方法として、キスを選んだ。うん、なぜキスかは知らん。
「あれですよ、白雪姫ですよ。兄様は、朝起きれない白雪姫で、私はそれを起こす王子様です」
「そんな白雪姫嫌だよ。っていうか、普通逆だろ」
「そうですよ。本当なら、毎朝私が兄様にキスされて起きたいですよ。たまには、頑張って早起きして、私をキスで起こしてくださいよ」
「なぜそうなる。つーか、普通兄妹でキスとかしないから」
「大丈夫です。義理の兄妹なので。それに、愛があればそんなものは関係ないです」
「愛があればって、お前俺のこと好きなの?」
「今さら何を。好きなわけないじゃないですか」
「だろ? だったら、キスなん……」
「好きを通り超えて愛しています!!」
「……通り超えていた。そうだったな、お前は俺を愛していたな」
「ええ、なので、今から愛し合う者同士の行為をいたしましょう」
「なんだよ、愛し合う者同士の行為って」
「決まっているじゃないですか――セック……」
「言わせねーよ!? 馬鹿なの!? キス以上にアウトだよ、ばか!」
ったく、このバカ妹は、朝から何言ってんだか。
あーあー、バカの相手を真剣にしたせいで、目も脳も完全に覚めてしまった。
仕方ない、起きるか。腹も減ったし。
「起きるんですか?」
「ああ、誰かさんのせいで完全に起きてしまったんでね」
「完全に……起きた……。確かに、元気ですね」
「どこ見て言ってんだ?」
「嫌ですね、言わせないでくださいよ。全く、兄様は欲しがりやさんですね。お恥ずかしいですが、私がどこを見ていたかというと、兄様のオチン……」
「着替える、出て行け」
月華を部屋から摘み出し、俺は寝間着から適当な服に着替える。服なんて何でもいいさ、どうせ外には出ないし。
「お着替えなら、お手伝いしますよ?」
「追い出した途端から、覗くな、入ろうとするな、手をワナワナとさせるな!?」
ささっと着替え、月華を置いて階段を降りていく。リビングに行くと、朝食が用意されていた。
顔を洗い、歯を磨き、朝食である目玉焼きとソーセージを食べる。
「置いていくなんて、酷いじゃないですか。それに、朝一緒に食べようと待っていたのに、一人で先に食べてしまうなんて……兄様には、お仕置きが必要ですね」
「んだよ、お仕置きって」
「罰として、私にあーんとして、食べさせてください」
「嫌だ」
「でしたら、兄様のソーセージをください」
「自分のがあるだろ」
「嫌ですね、私、可憐な女の子ですよ? 兄様と同じのがあるわけないじゃありませんか。男の娘でもあるまいし」
「ソーセージをくれなの、俺と同じのはないなの、何の話をしてんだよ」
「勿論、兄様の股間にあるご立派なソーセー……」
「よし、ご馳走さま」
「あ! 兄様どこに!」
「部屋だよ。バカといると、バカが感染るからな」
「私まだ兄様のソーセージを貰っていません! 部屋に行く前に、一舐めだけでも!」
「アホか! 市販のソーセージでも舐めてろ!」
「市販のソーセージ……はっ! 兄様は、世間の兄様のソーセージに汚される妹が見たいと!?」
「お前、そろそろ怒られるぞ、世間に」
「はて? なんのことでしょ?」
「はぁー、もういいよ。俺は部屋でゲームするから、入ってくるなよ」
「妹モノのエッチなゲームですね!」
「違うわい!」
バカな妹を放置して、俺は自分の部屋に戻り、パソコンを起動させる。
「さて、今日も雑魚どもを一掃してやるか」
俺は最近、オンラインゲームであるビーべックシュにハマっている。そこで、雑魚プレイヤーどもを撃ちまくっている。
それに飽きたら、今度は今夜行動という似たようなゲームをする。
三時間程戦ったところで、疲れてきベッドに寝転んで休憩する。
「ふぅー、ちょっと休憩」
ぼぅーと天井を眺めていると、近くの学校からチャイムが聞こえてきた。
時計を見ると、ちょうど昼だった。少し腹が減ったと思うが、部屋の外に出れば、あのバカがまた絡んでくる。
しかし、腹が減ると同時に、喉も乾いており、お茶でもジュースでもいいから、飲みたい。
俺は、足音を立てず、ゆっくりとドアを開け、バカの存在を確認する。
「右よし、左よし……よし、行けるな」
と思い、ドアを開け、ゆっくりと音を立てずにバカの部屋を前を通り過ぎようとした時だった。
バカの部屋のドアが開き、そこから白く細い腕が伸びてき、俺の腕を掴んだ。一歩間違えればホラー映像だ。
「ふっふっふ、兄様、あまり妹を嘗めてはいけませんよ。あ、別に私のあんな所やこんな所を舐めていただくのは構いませんよ?」
「別に嘗めてるとかないし、舐めないから」
「まあ、冗談はさておき、そろそろ兄様がお腹を空かせる頃だと思い、耳を立てて待機していたんです」
「忍びかよ。別に適当にパンとかカップ麺とか食べるから放っておいてくれ」
「放っておくなんてできませんよ。私は兄様と常に一緒にいたいのですから」
「俺はいたくない。はぁー」
「ふふ。さて、今から昼食を準備するのでリビングでお待ちください。あ、そうだ、暇しないように、裸エプロンで……」
「作るならさっさと作ってくれ」
「ふふ、ええ、愛情たっぷり入れて作りますね」
「兄様、今日はいい天気ですし、たまには散歩でもしませんか?」
「行くわけねーだろ。一人で行ってろ」
突き放すように言い、俺は部屋に戻る。別にあいつにどう思われようとどうでもいい。
俺は一人になりたい。放っておいてほしい。構わないでほしい。
ゲームのやる気も出ず、俺はベッドに寝転びながら漫画を読んでいた。
「この漫画もそろそろ飽きてきたな。けど、買いに行くのも面倒だし、そもそも買う金がねーしな」
スマホは昔持っていたが、壊れてからは買い替えず、今はパソコンしかない。
「あー、暇だ」
この部屋に娯楽は少ない。パソコンはあるが、金を掛けずに遊ぶには限界がある。
漫画もラノベも同じやつを飽きるまで読んだ。続きの巻を買えばいいが、金が無い。
「空から金とか降ってこねーかな。いや、降っても、外には出ないし意味ねーや」
なんて馬鹿げたことを言っていると、ドアがノックされた。誰がノックしたなんて、確かめる意味なんてない。この家には、俺とあのバカしかいないのだから。
どうせ、また絡んでこようとしているのだと思い、俺は無視をする。
「兄様、起きているんでしょ。今日もお友だ……」
俺はドアに向かって、モノを投げつける。
「俺にそんな奴はいない! いつも言ってるだろ、知らない奴が来たら、鍵を開けるな、出るな、無視をしろって!」
「兄様……」
「はぁーはぁー。っち。俺のことなんて、放っておけよ。どうせ、お前もいつかは、俺を……裏切るんだろ」
「私だけは、兄様を裏切りませんよ。ずっと、死ぬまで……いえ、死んでも一緒にいますよ」
「信じられるか。お前もあいつらも、どいつもこいつも――全員消えればいい」
「世界中の人々が消えても、兄様は一人にはなれませんよ。私は消えませんので」
「……うるさい」
「愛していますよ、兄様」
〜〜〜〜〜
エッチな要素ないじゃないかって?
待て待て、次回かその次回ぐらいにあるから笑
昔書いた小説だから、ちゃんと短編として完結はしてるから安心してくれ!
次回が少し長いから、割るかそのまま出すか分からないけど、全3話か4話で完結するはず
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます