第18話 いざ、湖のぬし!
洞窟は順調に進んでく。
オベッサくんも逃げだすわけじゃないし、これでなんで失敗続きだったのか、わけがわかんないなぁ。
トラップはあたしが解除。一回来たダンジョンだから、マップにも迷うことなく、ひたすら奥をめざす。
「わあ、なんか、回復魔法の必要もないくらい、みなさん、お強いですねぇ。私、こんなに楽させてもらっていいのかなって申しわけないです」
なんて、リゲルは有頂天だったんだけどね。そのあとだよ。
「あれ?」
「どうしたの? アニスさん」
「なんか、気配がする。もしかしたら、誰かつけてきてるかも?」
「えっ? モ、モンスターですか?」
「……」
あたしには見当ついてるけどね。よりによって仕事中に、やんなるな。ほんと、ねちっこいヤツらだ。
でも、あっちはあたしが気づいてると思ってない。不意打ちにはなんないから大丈夫だ。
そのまま、くだり坂をおりていく。この坂をくだったさきに、湖のぬしがいる。
どっかから水音が聞こえてきた。ピチョン、ピチョンとたれる
しばらくすると、前方が急に明るくなった。外の陽光がちょくせつ入りこんでくる。洞窟の壁が片側ポッカリあいて、湖が見えてる。
来たぞ。ここが湖のぬしがいる戦闘ポイントだ。
湖の手前にテラスのようになった場所があり、そこに大きなウミヘビがとぐろをまいてる。
うん。何回見てもデカい。あんまりデカいから、ほんとにBクラスダンジョンのマスターかって疑いたくなる。
でも、攻撃は鎌首をふりまわしたり、体あたりしてくるだけ。Aクラスダンジョンマスターだったら、炎を吐くとか、毒を吐くとかしてくるんだけど、コイツに特殊攻撃はない。A級戦士なら二、三人もいればチョロいはず。
「騎士さんたち。お願いします」
うなずくビースト族の騎士たち。目つきがするどくて
二パーティーにわかれて、まず第一班から戦闘に入る騎士たち。鎌首をもたげる湖のぬし。剣をかまえて切りこむ騎士。
「オベッサさま。ここにいれば安心ですよ。騎士たちが勝利したら、すかさず、テラスのむこうに渡って、奥の宝箱をあけましょう」
「う、うん……」
変だなぁ。不安要素ないはずなのに、なぜか、オベッサ坊ちゃんの顔色(表情)がますますヤバめになってく。
騎士たちの剣が湖のぬしの固いウロコに弾かれる音が響く。左右にふった湖のぬしの首が手前の騎士二人をよこになぎはらった。
「リゲル! 回復!」
「は、はい。プチヒール!」
戦闘に気をとられた一瞬だ。背後から急にダダダッと足音が迫る。
ふりかえると、クオームたちだ。クオーム、ユガルド、ゾイム。この前の因縁の三人が剣をふりかぶってむかってきた。
うわっ。コイツら、正気か?
たかがランク落ちごときで復讐とか、器ちっこすぎんだろ!
「てめぇら! いいかげん、しつっこい!」
街なかで冒険者が人を殺せば、どんな理由にしろ、それは殺人だ。即座に逮捕され、処罰される。
けど、ダンジョンのなかでなら、人が死んだところでモンスターにやられたといいはればいい。昔からよくある復讐の手だ。
とはいえ、ここにいるビーストたち全員を殺すことは不可能だと思うけどな。目撃者をどうする気なんだ?
「ったく、よう……」
あーあ。めんどくさい連中だ。このていどの攻撃、あたしがよけられないとでも思ってんのかねぇ?
すると、先頭のクオームのやつ、サッとよけたあたしと反対方向へ走ってく。
こ、コイツまさか、狙ってんのはクマちゃんかー!
「信じらんねぇ!」
なんてヤツだ。あたしのガイドとしての信用を落とすために、依頼ぬしの息子である優しくって可愛い、このけなげな子グマちゃんを傷つけるつもりだ!
そういや、最初のときも、あたしともどもサユリンを殺してしまおうとしてたっけ。
「こんのクソゲス狐がー!」
クオームをとめようと追いかける。でも、まにあわない。クマちゃんが……可愛いテディベアがやられてしまうー!
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