2.1想定外
任せろと、言ったはいいものの……。
翌日、入学式が終わって魔力の基礎力測定の場でことは起こった。
「おい、レイ=アスデル。ふざけてないでさっさと魔法を出せ」
鋭い目で俺を見る教官に、周りの白けた目。
その反応は当然だ。なんてったってハズレ色の赤髪でこの学院の第三太陽隊に入隊した生徒が今、魔法を不発で終わらせたのだから。
そして当事者である俺は冷や汗ダラッダラ。
やばいっ、なんで出ねぇのかわかんねぇ……!
「っ、」
体のうちを魔力が巡るのは感じ取れるのに、手から外へ出そうとすると謎の激痛が走った。
なんで?
今まででてただろ?
今まで……、あれ?
(俺、最後に魔法使ったのいつだ?)
俺が昨日の昨日まで太陽として使ってきたのは魔法とは別の、神力。
魔法の数倍使い勝手が良く万能な能力。
そういえば、太陽になって以来、神力しか使ってこなかったな。
「…………」
俺が太陽になる前の記憶を掘り起こそうとするも、ところどころが虫食いのようにぽっかり抜けている。
たった2年前のことなのに、思い出せない。
あー、イライラする。
思い出せそうで思い出せねえ。
記憶を無理やり弄られた弊害がまだ残ってるなんて。
「おい、これ以上時間を取らせるな。使えないのか?」
「いや、ちがっ……」
再度無理やり手から魔法を放とうと手を力ませる。
また激痛。
バチっとした痛みと同時に、脳内でバラバラになっていた記憶の1ピースがハマる音がした。
……そうだ、俺、魔法使えなくなったんだった。
「…………」
俺は構えていた手を下ろした。
諦めの意思表示のように。
ザワッとあたりがざわめく。
「何しにきたんだよ」
「魔法使えないのに何で第三太陽隊?」
「どうせコネだろ」
「これだから赤髪は……」
コソコソいってるようでまる聞こえの会話。
いつもの俺なら言い返すとこだが、正直今そんな余裕はない。
隊を降格されるのか?最悪退学の可能性も……。
もしそうなれば半魔との同盟は……。
『失敗』
その言葉が頭をよぎった。
……冗談じゃねえ。
俺はまだ何もしてねえぞ。
太陽様がこんなとこで終わるれるか。
授業が終了すると、銀髪の生徒がつっかかってきた。
色々言われたがそんなのに構ってる暇わないと殴り飛ばして、教官に止められながらもその足で俺は教官室へ向かった。
扉を開け放って言う。
「一ヶ月で戦果ポイント700。それとって場違いじゃねぇって証明してやるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます