1.5約束

赤髪。


それはハズレ色の中でも一番嫌われている色だ。


特徴としては、暴力的で短気。

犯罪者の三分の一が赤髪と言われている。


「おいテメ、何してくれてんだ!太陽が赤髪とか笑えねえぞ!」


ぐいっと掴み掛かるとユーゴは開き直ったのか振り払ってくる。


「そもそもお前の目の色が悪い!金髪なだけならまだしも、何千年に1人とかの確率の組み合わせの金髪紫目とか、やりにくいだろ!」


「なりたくてこんな色なんじゃねえよ!てか俺が金髪紫目じゃなかったら今ここに俺らいないだろ!」



乱闘乱闘大乱闘。

押し合いへし合い殴り合い蹴り合い、すったもんだ。


お互い疲れ果てるまで喧嘩して、終わった頃にはへとへとだ。


折り重なってベットに倒れる。


「重い」


「知らね」



唸るユーゴにさらに体重をかける。


「あーあ、お前のせいで俺学院で嫌われ者なるわ」



「……悪かったよ。俺の魔力じゃ赤にしか染められないらしい」


いつもよりユーゴの声が沈んだものに切り替わった。

こいつも大概猫被りだから、どこまで本気で思ってるかはわからないが。


「……まあ、金髪紫目で行くよりマシだからいいけど」



「だよな。やっぱお前が悪い」


こいつ……!


「疲れた。もう寝るわ」


俺はまだ全然眠くないのに、ユーゴは勝手に電気を消して布団に潜り込んだ。


ぐちぐち文句をいう俺には一切反応せず、目を瞑りっぱなし。

呆れて俺も布団に潜る。



静寂。

眠くなくても布団に入れば意外と眠くなるんだなこれが。


明日から、俺は赤髪の問題児か……。


「なぁ、レイ。おきてるか?」


「……何?」


「……いや。やっぱりいい」


「は?なんなんだよ。いいから言えよめんどくせぇ」


「……覚えてるよな?約束」


約束。


途端にフラッシュバックしたのは2年前、屋上のフェンスの向こう側でした会話。


『……もし、失敗したら?』


『そんときは、全部ぶっ壊して、一緒に死ぬぞ』


そう言って笑ったお前の顔は、今でも脳裏に染み付いている。


「覚えてるに決まってるだろ」


『言ったな?約束だぞ』


ユーゴのそれを、一生物にしたのは俺の方なんだから。


「失敗したら、全部ぶっ壊して、一緒に死ぬ。

まあ、半魔の方は任せとけって。うまくやるから」

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