1.4赤の問題児、爆誕
その後、頭に一発拳を入れられ俺は大人しく座って髪を染められてた。
しわくちゃにした新聞を読みながら、染色する訳を聞く。
「半魔との同盟が俺等にとって重要になるのはわかってるよな?」
「もちろん。何回も会談してるし」
「で、半魔の代表が今年特別交流枠でラピス学院に入るらしい」
学院というのは、高校を卒業した18歳〜22歳の青年が朝陽隊もしくは夜月隊に入るために通うものだ。
特にラピス学院は国一番の名門校。
必然的に、魔力の扱いに長け、さらにその高額な学費を払えるエリートばかりが集まっている。
「そこでお前も学院に入って同盟を組むようにうながせ。学生に粗相を起こさせないようにしろ」
「いやいや、それ俺じゃなくていいだろ」
「俺等にとって半魔の同盟は必要不可欠だが、人間にとってはそうでもないだろ?ここまでするのは不審がられる」
「そうか?……まぁ、確かに?」
「絶対に同盟を組ませろ」
ユーゴのいつも以上に真剣な声に思わず背筋が伸びた。
「……で、それはいつから?」
「明日」
「……なんて?」
「明日」
「……は?」
振り返ろうと首を動かしかけるが、グッと固定されて元に戻される。
「いきなりすぎるだろ!なんでもっと早くに言わなかった?!」
「悪いな。半魔の入学はまだ先だが学院の入学式は明日なんだ」
「半魔と同じタイミングじゃダメなの?」
「基本学院は中途入学認めてないからな。ただでさえ入学試験受けずにコネ入学するんだからできるだけ目立たないようにしたい」
「俺が目立たないでいられるとでも?こういうのはお前の方が得意だろ」
「いや、ほら。お前常識ないだろ?学院で学んでくればいい。あと太陽人気ないんだからメディア露出減ってもなんとかなる」
グサグサっと言葉が刺さる。
うるせー、常識ないのは自分でもわかってんだよ。
「で、金髪だと目立つから染色するって?一応髪染めんの犯罪だぞ」
まあ人間の魔力では染めれないから、疑われることはないんだが。
「……あ“?」
返事がないと思ったらどすの利いた声が背後から聞こえゾワっとした。
「何?」
「……悪い。しくったかも」
ずっと頭に乗っていた手が離れた。
慌てて確認するように頭に手をやる。
いつものサラサラな感触はなく、ぎしぎしした手触りでさっと血の気が引く。
「お、おい。鏡よこせ」
ユーゴは何も言わずそっと立って棚の中から鏡を取り出し持ってきた。
こいつが素直にいうこと聞くのは碌でもない時だ。
恐る恐る鏡を覗き込むと、そこに写っていたのは……。
血に染まったような、真っ赤な髪。
「嘘だろ……」
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