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誰にも選ばれない物語

誰にも選ばれない物語

shiso_

おすすめレビュー

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★★★
★15
5人が評価しました
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本文ありのおすすめレビュー

  • TERU
    506件の
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    ★★★ Excellent!!!

    「削除された言葉たちの“在る場所”へ」

    毎朝9時、「選別」が始まる。
    作品は《EGO》に測られ、残るか、消えるかを決められる。
    選別官ソウマは、読む。判定する。削除する。――感情を殺して。

    ところが、削除されたはずの作品が“どこかで”保存されていることに気づく。
    辿り着いた先は、都市の外れの廃棄施設。
    そこにいたのは元選別官カナエ。彼女は、選ばれなかった12,000の言葉を、ただ「在らせる」ために抱えていた。

    「選ぶ」と「許す」は同じじゃない。
    価値を付けること自体が、また別の選別を生む。
    この物語は、技術や才能の話じゃなく――“書く理由”と“残る権利”の話に踏み込んでくる。

    読んでいくほど、ソウマの指が判定ボタンの前で止まる重さが、読者の指にも移ってくる。
    選ばれる/選ばれない、その境界の痛みを真正面から描くSFであり、静かな祈りの物語です。

    • 2025年12月15日 10:12