「削除された言葉たちの“在る場所”へ」
- ★★★ Excellent!!!
毎朝9時、「選別」が始まる。
作品は《EGO》に測られ、残るか、消えるかを決められる。
選別官ソウマは、読む。判定する。削除する。――感情を殺して。
ところが、削除されたはずの作品が“どこかで”保存されていることに気づく。
辿り着いた先は、都市の外れの廃棄施設。
そこにいたのは元選別官カナエ。彼女は、選ばれなかった12,000の言葉を、ただ「在らせる」ために抱えていた。
「選ぶ」と「許す」は同じじゃない。
価値を付けること自体が、また別の選別を生む。
この物語は、技術や才能の話じゃなく――“書く理由”と“残る権利”の話に踏み込んでくる。
読んでいくほど、ソウマの指が判定ボタンの前で止まる重さが、読者の指にも移ってくる。
選ばれる/選ばれない、その境界の痛みを真正面から描くSFであり、静かな祈りの物語です。