君にどうしても逢いたくて ③

 それからというもの私はお洒落に気を使うようになっていった。今までは真っ黒になるまで日焼けしていたのだが、日焼け止めクリームも塗るようになっていき、肌の色も少しは薄くなってきた。彼とは相も変わらず、公園で遊ぶ関係はずっと続いた。あの時はお母さんにどうして違う小学校に通わなくちゃいけないんだとよく文句を言ったものだ。


 そして10月中旬を過ぎた頃、その日は珍しく私は一人公園にいた。彼を今度学校で行われる学芸会に見に来てほしいと伝えるため待っていたのだ。いつもの公園で待っていた時、彼の姿を見掛けたので傍へ駆け寄ろうと思ったのだが、その日は少し様子が違った。彼の姿はボロボロで血のような赤い痕が傷口からも見えた。足は引きづっているようで、痛々しく歩くのもとてもつらそうだった。すぐにも駆け寄って声を掛けたかったのだが、その表情はとても冷たく今までに見たこともない恐い顔をしていたこともあり、足が途中から動かなくなった。


 それ以来、私は彼と一緒に居ることが無くなってしまったのだ…

 その後も近所のスーパーだったり街中で何度か見掛けることはあったものの彼の表情は常に暗く、近寄りがたいものになっていた。

 とても悲しかった。でもそれ以上に、彼に寄り添うことも出来なかった自分に嫌悪した。


 月日は流れ中学に上がった頃、私にも新しく親友と呼べる友達が出来た。石水風音いわみかざねという子でなんと彼と同じ小学校出身だという。彼とはまたしても学区違いで中学校も一緒に慣れなかった私にとっては貴重な情報源だ。

 あれ以来、どうしてあぁなってしまったのかという理由が彼女のおかげでようやく見えてきたのだ。虐めと母親が倒れ、そこに拍車がかかったように更なる陰湿な虐め。もう聞いただけで吐き気がした。人とはどうしてこう、自分と違うものに対して残酷になれるのか……



 彼女はなんとか彼に寄り添いたかったのだが、もうあれから既に5年も経ってしまった。時というのは物凄く残酷で、長ければ長いほど取り戻すにも時間が掛かるということ。1、2回会っただけでは絶対に取り戻せないこと。



 ─── もう初恋だとかどうでも良かった… ただ私は彼に何度も救ってもらった。だからこそ、私も彼を救いたい…… 恩返しがしたいのだ ───



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