第10話

 自己認識を改めるために、自分自身を自分から見て書いてみよう。自分の事とはいえ、これも間違って公開されたら困るのである程度伏せる。

 生まれはK県Y市。2-3歳ぐらいの時にT県へ引越しし、祖父母と共に住む二世帯で居住。よって、気持ちの上では生まれも育ちもT県民。

 小学校低学年まではひどく内気な少年だったそうな。その頃の気持ちは覚えていないので、これは両親談。それから徐々に明るさを得ていったとのこと。

 しかし、三つ子の魂百まで、とはよく言うものでコミュニケーションが出来なくはない内気集団のひとり、くらいまでしか変わっていない。と僕は思うがよく否定される。お前はかなり楽しく喋る方だと。

 小中高と公立学校へ進み、大学は隣県の、いわゆる駅弁大学に進む。勉強自体は嫌いではないが、好んでやりたがらないという性格で優先順位を下げていた。それでもそれなりにガリ勉の時期もありどの時代も全国偏差値は50を下回ることはなかった。

 若い頃にもっと勉強していれば、というのはやはり思う。生きる上で三角関数も微積も英語も化学、物理、現代文、古文、地理、世界史、日本史、素因数分解は割と使っているが、もっと勉強していればもっと面白い世界が見れたかも知れない、と思う。

 大学は色々な事があり、また色々と起こったため、3年次のあと1年休学したのち中退した。まあ、あの時は肉体的にも精神的にも疲弊した4年間だった。

 大学を辞めた後は図書館に通ったり、公務員試験を受けたりして、なんだかんだ地元の企業に就職。そこで数年こき使われ、民事再生の適用を機に転職。S県に身を寄せ、それなりに過ごした。賞与が遅れない、残業代が出る、出張が少ない、という理由だけで転職したが、いい経験をさせてもらった。そこで数年働き、転職して今に至る。今もS県で一人暮らし。

 両親は他界済み。兄弟は姉と兄が一人ずつ。姉は既婚で、姪と甥がいる。兄はバツイチ独身。うちの男どもは、と姉はよく零すが兄も僕も右から左。どちらも独身なだけで、法を犯さず働き納税しているので文句の言われはない。そう思う事にしている。

 さて、半生というのは書こうと思えばいくらでも書けるが、しかし書いておこうというものはさほどでもない。

 案外薄い人生なのか、とふと思う。人生の山も谷も特筆すべきことはない。しかし他人とは存外楽しいもので、自分にとってそうでもない事が他人にとっては特別な事だったりする。

 隣の芝生はいつまでも青いままだ。

 今日は天気予報ほど曇ってはいない。布団を干すため、ここで終える事にする。

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