第21話:束の間の日常と、違和感の再来
1.日常への帰還と、陰キャの安息 😌
『影の支配者』との最終決戦から数週間。俺たちの世界は、劇的に平和を取り戻していた。
俺の成績は、元の**「中の下」に戻り、生徒たちの熱狂的な視線も消え、教室で静かに過ごせる「陰キャの安息」**が戻ってきた。
しかし、俺の放課後は、以前よりも遥かに賑やかだ。
昼休み。俺は、部室で凛の解析作業を手伝いながら、ひかりが持ってきた大量のクッキーを食べていた。
「ゆうくん、はい!疲れた頭には糖分だよ!」
「ありがとう、ひかり。…しかし、お前、最近クッキー作るの上手くなったな」
「えへへ!これも、チームのエネルギー補給のために必要だからね!」
咲耶は、生徒会業務の傍ら、部室に持ち込んだ自前のサーバーで、校内のネットワークに異常がないか監視している。
「世界のコアは修正されたけれど、学園内にはまだ**『システム管理者』**が残した痕跡や、小さなバグが潜んでいる可能性があるわ。警戒は怠らない」
零は、相変わらずポッキーを咥えながら、俺の**『真実のログ』**の読み取り能力について、興味深そうに観察していた。
「陰キャ君の能力は、本当に便利になったよね。この世界に隠された**『システムのウソ』**が、何でも見えちゃうんだもん」
俺の能力**「真実のログ(トゥルー・ログ)」は、コアとの戦いを経て安定し、今では、世界の「意図的な情報操作」**を見抜くことができるようになっていた。
俺の日常は、美少女たちに囲まれ、世界の真実を知り、それを守るという、**「非日常が溶け込んだ日常」**へと完全に定着したのだ。
2.図書館の不具合と、新たなバグ 📚
そんな平穏な日々は、唐突に破られた。
放課後。俺が部室でゲームの攻略サイトを眺めていると、久々の警告ウィンドウが表示された。
【ALERT: World System Error 006: Data Contradiction - Localized】
【エラー種別:Logic Loop Instability - 情報の矛盾】
【発生場所:桜ヶ丘高校 - 図書館 - 郷土史コーナー】
【バグレベル:Level 2 (軽度だが、論理構造に干渉)】
「バグだ!レベル2だが、『情報の矛盾(Data Contradiction)』…これは初めて見るタイプだぞ」俺は、即座に皆に報告した。
「図書館の郷土史コーナー…論理構造に干渉するバグ?」凛が、解析デバイスを抱えて立ち上がる。
「すぐに現場に向かうわ。レベル2なら、力技ではなく、**『情報の修正』**が必要になるはずよ」咲耶が、俺にインカムを手渡す。
現場の図書館は、平穏な雰囲気に包まれていた。郷土史コーナーには、古めかしい本が並んでいる。
「悠斗。バグの場所を特定して」
俺は、デバッガー能力を集中させた。
「この本だ!郷土史『桜ヶ丘の起源』…この本の内容と、図書館の**『蔵書データベースのログ』**が、激しく矛盾している!」
俺の視界には、本に書かれている**「桜ヶ丘の開祖は、明治時代に来た富豪」という情報と、データベースに記録されている「開祖は、江戸時代に現れた謎の修験者」**という情報が、激しく点滅している。
「どちらかが偽の情報…いや、**どちらも『真実』**として、世界に記録されているから、システムが矛盾を起こしているんだ!」
3.謎の女子生徒と、デバッガーの違和感 🤔
その時、郷土史コーナーの奥から、一人の女子生徒が姿を現した。
彼女は、俺たちと同じ制服を着ているが、どこか周囲から浮いたような、**『透明感』**のある雰囲気を持っている。長い黒髪で、知的な瞳。
彼女は、俺たちの存在に気づくと、驚いた様子もなく、静かに俺たちに歩み寄った。
「…佐倉悠斗君、ですね。そして、噂の『放課後チート同盟』の皆さん」
咲耶が、強い警戒心で彼女を見つめる。「貴女は誰?なぜ私たちのことを知っている?」
「私は、**一ノ瀬 雫(いちのせ しずく)です。この図書館で、少し『調べ物』**をしていただけです」
雫は、郷土史の本に手を伸ばし、優しく撫でた。
「この本には、**『世界の真実』の一部が書かれている。そして、その真実が、あなたの『デバッガー』能力に『バグ』**として映っているのでしょう」
その言葉に、俺は戦慄した。この少女は、俺の能力の性質を、まるで理解している。
そして、雫が立ち去る瞬間。俺のデバッガーの目が、彼女の存在に、致命的な違和感を見出した。
俺の視界に、雫の存在を示す警告ウィンドウが表示された。
【CRITICAL ALERT: Entity Log Inconsistency - Root Cause: Non-Existent Protocol】
【True Log: Ichinose Shizuku - Existence Log: NOT FOUND. Access Rights: Administrator Level.】
(存在ログが見つからない!?この少女は、**『この世界に存在しない』はずなのに、『管理者レベルのアクセス権限』**を持っている!?)
雫は、俺の驚愕の表情を見て、静かに微笑んだ。
「…私を見つけたのですね、佐倉君。あなたのデバッガー能力は、本当に優秀です」
彼女は、図書館の出口へと消えていった。
俺たちの目の前に、**「存在しないはずの、管理者権限を持つ美少女」**という、新たな、そして最も不可解なバグが立ち塞がったのだ。
—―第21話 完—―
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