第19話:月のゲートと、テンプス・クロニウムのコア

1.櫻の丘での暗号解読 🌙

夜。俺たち『放課後チート同盟』は、学園の裏にある、見晴らしの良い**「櫻の丘」**にいた。

俺の手に握られているのは、並行世界の俺が残したメッセージ。「03:30 / 19:45 / 櫻の丘の上の月」。

夜空には、昨夜見たような歪みはないが、満月が煌々と輝いている。

「現在時刻は19時25分。タイムリミットまで、あと20分だわ」咲耶が腕時計を確認する。

「暗号の**『差』**が、ゲートを開く鍵のはずよ」凛が、解析デバイスを地面に設置する。

「19時45分から03時30分を引くと…16時間15分。この時間が、並行世界とこの世界の**『時間差』**を示しているんだ!」

俺は、デバッガーの能力を集中させ、凛のデバイスにその**『時間差コード』**を入力する。

【ANALYSIS: Time Difference Protocol - Parallel World Access Key Accepted】

「アクセスキーが認証された!しかし、まだゲートは開かない…何かが足りない!」

「『丘の上の月』だ!月光が関係している!」ひかりが夜空を指さした。

俺は、月光が丘の最も高い場所を照らしている一点に気づいた。その地面は、わずかにテンプス・クロニウムの微細な光を放っている。

「咲耶!月光が当たる、あの一点だ!フリーズで地面を冷却し、テンプス・クロニウムの結晶を安定させろ!」

咲耶は、即座に能力を発動。月光の下の地面が、一瞬で凍り付く。

キィン…

凍り付いた地面から、眩いばかりの白い光の柱が、夜空に向かって立ち昇った。光の柱の中心には、空間が渦を巻くように歪んでいる。

「開いた!これが、並行世界へ繋がる**『月のゲート』**だ!」

2.テンプス・クロニウムのコア ⚙️

「佐倉君。ゲートの先は、**『影の支配者』**の領域よ。敵の能力制限があるかもしれない」咲耶が警戒する。

「大丈夫だ。もう一人の俺が残したメッセージは、きっと対策になるはずだ」

俺たちは、白い光の柱の中へと、飛び込んだ。

体が光を通過する、強烈な浮遊感。視界が元に戻った時、俺たちは巨大な地下空洞に立っていた。

そこは、まるで巨大な水晶の洞窟のようだった。洞窟全体が、淡い青い光を放つテンプス・クロニウムの巨大な結晶に覆われている。

空洞の中央には、心臓のように脈動する、巨大な青い結晶の塊。これが、**『テンプス・クロニウムのコア』**だ。

「あれが、奴らが世界を統合するために使おうとしている**『最終兵器』**よ…!」凛が、解析デバイスを向ける。

そして、コアの周囲には、黒いローブの集団。**『影の支配者』**の幹部たちが、俺たちを待ち構えていた。その中には、以前戦った、あの少年使者の姿もある。

「待っていたぞ、デバッガー・悠斗。我々の**『恒久的な修正』**を妨げる、最後の抵抗者たちよ」

少年使者が、静かに口を開く。

【Administrator Authority Activated - Field: Core Overlap Area】

【Effect: Fixer Abilities Reduced to 20% Output.】

「今度は**20%**の能力制限だと!?」ひかりが歯噛みする。

「無駄だ。我々は、このコアで、君たちの世界の**『設計思想』を、『バグのない、完璧なプロトコル』へと上書きする。あとは、君たちの世界を、『マスターログ』**に統合するだけだ」

3.並行世界のデバッガーの遺言 📣

絶望的な20%の能力制限。しかし、俺は屈しなかった。俺の視界の警告ウィンドウには、巨大なコアから放出されるエネルギーの波長が、鮮明に表示されていた。

そして、俺は、並行世界の俺が残したメッセージの**『真の意図』**に気づいた。

「違う!奴らの目的は、**『上書き』じゃない!『破壊』**だ!」

俺は、コアのエネルギー波長と、もう一人の俺のメッセージを重ね合わせた。

「03:30 / 19:45 / 櫻の丘の上の月」

「この**『03:30』と『19:45』は、『時間差』じゃない!これは、『コアの臨界点を示す**「周波数(周波数)」**』**だ!」

俺のデバッガー能力が、コアの最も脆弱な**『共振周波数』**を、見つけ出したのだ。

「凛!コアの周波数を、**『3.30 GHzと19.45 GHz』で、交互に『無効化(キャンセラー)』で攻撃しろ!その二つの周波数が、コアの『安定化プロトコル』**を崩す!」

凛の顔が、驚愕に歪む。「そんなピンポイントの周波数…!でも、もしそれが**『裏コード』**なら…!」

「咲耶!ひかり!零!俺の指示で、全能力を**『共振攻撃』**のサポートに使え!コアを崩壊させるんだ!」

**能力制限など、関係ない。俺のデバッガー能力は、この世界の、そして並行世界の『システム設計』**すら読み解ける、真のチート能力なのだ。

俺たち『放課後チート同盟』は、世界の存亡をかけた、テンプス・クロニウムのコアへの**『裏コード攻撃』**を開始したのだった。

—―第19話 完—―

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