第18話:パラドックスの脅威と、並行世界のデバッガー

1.並行世界からの干渉と、悠斗の不安 🌌

地下サーバー室に現れた**「もう一人の佐倉悠斗」**の出現と消失は、俺たちに大きな衝撃を与えた。

「今のバグは、**『時間的パラドックス』よ!過去ではなく、『並行世界』**からの干渉だわ!」凛が、サーバー室の解析デバイスから異常なデータを読み取る。

「並行世界…?私たちが住む世界と、そっくりだけど、少し違う世界があるってこと?」ひかりが、恐怖に顔を青ざめさせる。

「奴の制服の校章、うちのとはデザインが違っていたわ」零が、冷静に観察していた情報を共有する。

咲耶は、俺の顔を見つめた。「悠斗。もう一人のあなたが言っていた**『システムに食い尽くされる』**とは、どういう意味だと思う?」

俺は、自分の能力を集中させ、並行世界の俺が消えた空間の歪みの残滓を解析した。

【True Log: Parallel World Yuto - Fate: World Collapse due to System Overwrite. Purpose: Warning our timeline.】

(もう一人の俺の世界は、**『システムの上書き』**によって崩壊した…そして、彼はこの世界を警告しに来た…!)

「奴らの目的は、**『修正』**なんかじゃない!世界を『影の支配者』にとって都合の良い世界に上書き(オーバーライド)することだ!並行世界の俺は、その失敗を目撃したんだ!」

俺は、自身の未来の可能性を見たようで、強い不安に駆られた。もし、俺たちの世界も、奴らに上書きされたら?咲耶たちとの、この**「バグだらけの非日常」**が消えてしまったら?

2.デバッガーの役割と、新たなミッション

校長先生は、俺たちの話を聞きながら、静かに語り始めた。

「佐倉君。並行世界は、この世界の**『設計プロトコル』の欠陥によって無数に存在する。そして、『影の支配者』は、『テンプス・クロニウム』を使って、複数の世界を『統合(マージ)』**させようとしている」

「統合…?」

「彼らは、最も完璧に近い世界を**『マスターログ』とし、他の世界をそのログに強制的に『上書き』しようとしているのだ。そうすれば、彼らの理想の『完全な世界』**が、一瞬で構築される」

凛が、恐ろしい事実に気づく。「もし世界が統合されたら、私たちの世界の『修正者』の存在も、マスターログの世界の**『記録』**に書き換えられてしまう…」

「そうだ。そして、その『影の支配者』の計画の実行に必要なのが、**並行世界の『デバッガー』**だ」校長先生が指摘した。

「デバッガーは、世界のシステムに最も深くアクセスできる。複数の世界を繋ぐ**『ゲートキー』**として、奴らに利用される可能性がある」

俺の胸に、強い使命感が湧き上がった。

「次のミッションは、『影の支配者』が並行世界を統合する前に、その鍵となっている『テンプス・クロニウムの巨大ノード』を破壊することだ!」

咲耶が、俺の決断に静かに頷いた。「分かったわ。ターゲットは、彼らが世界の統合に利用する**『テンプス・クロニウムのコア』**ね」

3.並行世界のデバッガーからのメッセージ ✉️

俺たちが、サーバー室を後にしようとした、その時。

コンソールの脇に、小さな紙片が落ちているのを、零が見つけた。

「…何これ。さっきまで、こんなものはなかったわ」

それは、あの並行世界の俺が消える直前に、落としていったものだ。

紙片には、乱雑な文字で、**『暗号』**が書かれていた。

「03:30 / 19:45 / 櫻の丘の上の月」

「これは…時間と場所の暗号ね」凛が、即座に解析に取り掛かる。

「03:30と19:45…この時間差が、きっと並行世界とこの世界を繋ぐ、**『次のゲートを開く鍵』**だ」

「そして、場所は**『櫻の丘』**…学園の裏にある、高台のことだわ」咲耶が確認する。

ひかりが、紙片を不安げに見つめた。「『丘の上の月』?月が歪んでたことと関係あるのかな…」

俺は、並行世界の俺が、命を懸けて残していったこのメッセージに、強い決意を固めた。

「次の戦いは、**『櫻の丘』**だ。これは、もう一人の俺が残した、**俺たちの世界を救うための『最重要デバッグ情報』**だ!」

「行くわよ、悠斗。今度こそ、『影の支配者』の根源的な企みを、完全に**『修正』**する!」咲耶が、先陣を切って歩き出した。

俺たち『放課後チート同盟』は、世界の崩壊を阻止するため、並行世界からの脅威と、世界のシステムそのものの設計思想を巡る、最終決戦の場へと向かうことになったのだった。

—―第18話 完—―


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