甘酒

「おはよ~ママ」


 共働きな両親だが、休日はママがいる。したがって、朝に大樹が起こしに来ることはない。


 テーブルに、白い液体が入ったコップがあった。牛乳かなと思いつつも、僕はそれを飲んだ。


「……こ、これは……牛乳じゃない~?」


「莉奈ちゃん、私が飲もうと思ってた甘酒飲んじゃった?」


 甘酒? つまりお酒ってこと? そう思ったら、なんだか身体がポカポカしてきた……


 酔い、血中アルコール濃度がどうたらこうたらで、気が大きくなると本に書いてあった。


 たしかに心なしか、気が大きくなってきた気がする。


「酒と言ってもこの甘酒にはアルコール入ってないから」


「ママ~! ちょっとたいじゅのいえに行ってくる~!」


「いってらっしゃい~」




        ◇



 ぼくはむてきだ。だっていま、シラフではぜったいかなわないたいじゅを、おしたおすことにせいこうしているのだから。


「たいじゅ~! ぼくといいこと、しよ?」


「ど、どうしたんだ莉奈!? むちゃくちゃ着崩して、迫ってきて。ていうか顔赤くない?」


「こまかいことはいいからさ~! すけべぇしよ~!」


「うおっ!? こんな力どっから!?」


 たいじゅ、いつにもましてタジタジでかわいい~。たべちゃいたい。


「お、おい。生はやばいって!? ただでさえこの関係も秘密で曖昧なのに……」


「ぼくとたいじゅはきょうはん(共犯)だもんね~。きょうはんどうし、いけないことしようよ~!」


「ま、まて、お前はそれでいいのか?」


「なにが~?」


「俺のことが好きなのは分かる。でも最初の行為が理性を失って襲う、これでいいのか? もっと甘々なのが好みなんじゃないかな?」


「そ、それは……」


(自分でも何言ってるか分からないが、莉奈の暴走を止めるにはこれしかない)


「たしかに、そうかもしれない」


「だ、だよね? だから一旦頭を冷やせ、なっ?」


「わかった……」


 それからの記憶はあまりない。気づいたら大樹の家で寝かされていた。


 あとで聞いた話だけど、甘酒にアルコールは入ってないらしい。

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