世に蔓延るものの正体を君に
俺の名前は
想い人、
今は彼女に相応しい男になるべく日々努力しているんだ。
ヨルさんの正体はたぶん女神か神秘の化身だと思うんだけど、俺はまだ確信が持てていない。
というのも俺なんかの想像力の及ぶような存在ではないと思えるからだ。
所詮平凡な高校生である俺と彼女では住む世界が違う。
きっと彼女は大きな運命と重大な責任を伴った世界の命運を握る存在なんだと思う。
いや、意外と平凡な女の子なのかも?
謎が深まる。
こうやって考える余地のある所が彼女の魅力の一つなんだけどね。
彼女の正体について考えているときに気がついた。
俺は俺の正体を知らないと。
俺は鏡を見つめもう一人の俺と会話し俺自身のクローン製造に成功した。
次々と生産されていくタケミツクローンを見つめているときに本来の目的を思い出して廃棄することにした。
すまない、これは気持ち悪い。
自分がたくさん並んでいるところって怖いよ。
「僕」「我」「拙者」「ぬ」「ミー」「ワイ」「手前」「かさね」
数々のタケミツクローンを機能停止させているときに彼女と出会った。
女性型タケミツのタケコ。
「ごめんなさい、私が生まれてしまったばっかりに……」
彼女は俺の前で涙を流した。
すまない、俺が君を生み出してしまったばっかりに……。
俺は彼女を機能停止させて眠りにつかせた。
彼女たちタケミツクローンを保存カプセルに入れ工場を閉鎖する。
タケコ、お前のことは忘れない。
意外と可愛らしかったので俺も今度真似してみよう。
俺は白い羽の君に工場を隠蔽魔法で隠すようにお願いしてから帰宅した。
色々な俺を見て気がついた。
俺はもっと彼女に相応しい男になるべく努力するべきだと。
俺は髪を整え服装を正しヨルさんと話をするべく彼女のいる教室に向かった。
俺に突き刺さる女子生徒達の視線をくぐり抜けて教室にたどり着いた俺はヨルさんを呼び出した。
そのとき彼女と出会った。
ヨルさんのクラスの委員長のミユキ。
彼女は俺にこう言った。
「野々宮さんなら今日はお休みよ」
なんてことだ。俺としたことがヨルさんの出席を確認していなかったなんて。
ショックを受けている俺を見てミユキがこう提案してきた。
「私と連絡先を交換しましょう? 野々宮さんが休みのときは教えてあげるわ」
俺はミユキに感謝して連絡先を交換した。
自分の教室に帰ろうとしたときミユキは俺を呼び止めた。
「私もあなたを狙ってもいいかしら?」
俺は薄く笑ってその問に首を振った。
すまない、俺はヨルさん一筋なんだ。
君がどんな手を使っても俺の気持ちを変えることは出来ないだろう。
だが彼女は諦めないという顔をしていた。
いいね、その顔。嫌いじゃないぜ。
俺を狙うならやってみるといい。
いつでも待っているよ。
俺は廊下の曲がり角から襲いかかってきた格闘技のライバルを蹴り倒して帰宅した。
ミユキの諦めない姿勢を見て気がついた。
姿勢は大事だと。
俺は背筋を伸ばし柔軟をしヨガの動きを極めた。
ヨガの
俺の心の中にいた僕と会話したとき俺は俺の殻を一枚破ることができた。
すまない、僕よ。まだ俺は自分を信じきれていなかったようだ。
俺は俺というだけでいいんだ。
俺は自分を誇らしく思い目を開けるとかつて俺のお笑いを見てくれたウルミさん薄笑いで俺を見ていた。
俺は自分がパンツ一枚の状態であることを思い出し急いで帰宅した。
自分のクローンを封印し彼女のクラスの委員長の連絡先を得て自分の殻を一枚破った俺はヨルさんに会いに行くことにした。
緊張するな。
そういえばヨルさんは学校を休んでいたな。彼女の自宅にお見舞いにいくとしよう。
お土産はどうしようか。
定番だけど果物でも持っていくとしよう。
丁度野良ディベーダーが異世界から果物を持ってきてくれてたんだ。
つまんでみたらなかなか美味しかった。
気に入ってもらえると思う。
ヨルさんの家に行くと彼女の母親が出迎えてくれた。
どうやらヨルさんは食欲不振らしい。
なんてことだ、持ってきた果物は彼女の母親に預けヨルさんの部屋に行く。
おっと、いきなり彼女の部屋に入ると思ったかな?
そんな訳ないだろう、俺は常識を弁えている。
俺は彼女の部屋の扉をノックして声をかけた。
「やあ、お見舞いに来たよ。調子はどうだい?」
「……気持ち悪い」
どうやら本当に調子が悪いようだ。
世の中じゃ病気が流行っているし。
ヨルさんも早く元気になるといいな。
それにしても弱っているヨルさんの声は可愛かった。
こんな声が聞けるなんて、やっぱり僕の初恋は最高だ!
俺は少し熱を感じつつも帰宅した。
ハックショイ!
君に拒絶されてから苦悩と青春と別れを経た僕の愛を込めた言葉と君の返事 レクト @direct0907
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