心の内を君に
俺の名前は高竹光立。あだ名はタケミツ。
想い人、野々宮夜昼さん、ヨルさんから「あんた気持ち悪いのよ」と言われた高校二年生だ。
今は彼女に相応しい男になるべく日々努力しているんだ。
君たちは自分の心の声を聞いたことはあるかな?
俺は無いよ。聞いたことがある人は凄いね。
心の声ってなんだろうね。俺は俺の考えた言葉しか聞こえないけどね。
自分の声にはあまり興味はないけどヨルさんの心の声には興味がある。
彼女が何を考えているのか。興味は尽きない。
心を覗くなんて良くないことだけどでも気になる。
心について考えているときに気がついた。
心とはなんだろうかと。
俺は本を読み人に聞き神に問うた。
神の座の彼女の前にたどり着いたとき本来の目的を思い出して俺は膝をついた。
すまない、この下りは前にもやったな。
同じことの繰り返しをするなんて進歩の無い俺だ。
「心とは何かを問うか」
神の座の彼女が俺の問いに反応してくれる。
ありがとう、その優しさこそが心だぜ。
「……然り」
せっかく来たので少し瞑想してみたけどヨルさんのことしか考えられなかったので俺は意識を取り戻した。
俺の部屋に住み着いているASMRな幽霊さんと心について議論しながら俺は就寝した。
テレビで動物園の映像を見ているときに気がついた。
動物の気持ちが分かれば人の心にも近づけるのではと。
俺はオルコと動物園に行き様々な動物の動きを観察し猿山の王となった。
王としてどうすれば民を導けるのか考えているとき本来の目的を思い出して山を降りた。
一匹のメス猿、ユミナが俺に言った。
「あんた、戻ってきて」
すまない、俺は民を導けるような器じゃないんだ。人の心も分からないちっぽけな男さ。
ユミナ、君にはもっと相応しい男がいる。
ヨシオだ。あいつは男気のあるいい男だ。あいつにならお前を任せられる。
俺は猿山を見ていたオルコから酒を奪ってから帰宅した。
オルコ、この動物園は飲酒禁止だ。
ヨシオの男気を見て気がついた。
かっこいい男はやはりモテるのではと。
俺はモテるための本を読みビジネス書を読み論語を読んだ。
古代中国の思想家、孔子についての理解を深めているときに本来の目的を思い出して読み終えた。
すまない、俺はまた一つ自分の無知を知ってしまった。
現代社会でも度々使われる言葉はここにあったんだね。
俺はまだまだ小人といったところだ。未成年だしね。
論語を読んでいて思ったのはこれを使えば人の心が読めるのではということだ。
俺は街中に潜んでいた闇ディベーダーとのバトルで相手の心を読み勝利していった。
義を見て為ざるは勇無きなり、だ。
君たちのような道を外れたやつらは正さなければ。
闇ディベーダーのアジトの一つを潰したところで本来の目的を思い出して踏みとどまった。
過ぎたるは猶及ばざるが如し、だ。
やり過ぎはよくない。今日はここまでにしておこう。
俺は白い羽根の君と野良ディベーダーとうどんを食べてから帰宅した。
心について考え猿山に登り論語を読破した俺はヨルさんに会いに行くことにした。
今日こそは彼女が何を考えているのか知ることができるかもしれない。
そう思うと緊張するな。
俺は彼女にどう思われているのだろうか。
……俺なんかが彼女の気持ちを知ってしまってもいいのだろうか。
いいや、迷うな。
少しでも彼女のことを知りたいんだ。
待ち合わせ場所にいるヨルさんに俺は声をかけた。
「もしかして俺のことを考えてた?」
「は? 自惚れんな、気持ち悪い」
そういうと彼女は足早に去っていってしまった。
おかしいな、確かに俺のことを考えていると思ったんだが。
どうやら俺の心を読む力はこの程度のようだ。
もう二度と使うことはないだろう。
しかし簡単に心を読ませてくれないとは。
やっぱり僕の初恋は最高ってなもんだ!
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