認められたくて君に

 俺の名前は高竹光立。あだ名はタケミツ。


 想い人、野々宮夜昼さん、ヨルさんから「あんた気持ち悪いのよ」と言われた高校二年生だ。


 今は彼女に相応しい男になるべく日々努力しているんだ。


 俺はうっかりヨルさんの良いところを顔と答えてしまって傷心していた。


 一人になりたいと思っていると格闘技のライバルがまた襲撃してきたので返り討ちにして気がついた。


 いい加減にしてほしいと。


 いつまでも襲撃されるのが面倒になってきたので元を断つことにした。


 俺は格闘技の大会を制覇しライバル達をことごとく倒し格闘技の闇の王として君臨していた親父に挑戦した。


 地に伏す親父が「俺に勝っても第2第3の闇の王が」とか言っていたので黙らせた。


 彼女が現れたのはそのときだ。


 闇の王の秘書、アン。


 彼女は親父を踏みつける俺にこう言った。


「あなたが新たな闇の王です」


 俺はその誘いを断りこう言った。


「アン、お前はクビだ」


 すまない、闇の王なんてかっこ悪い称号なんてほしくないんだ。


 君もこんなことはもうやめにして真っ当に生きてほしい。


 なぜなら君はとても美しい。その眼鏡とスーツの組み合わせなら社長秘書が務まると思うぜ。知り合いの社長のシズカさんを紹介してあげるよ。


 困惑するアンを残して俺は帰宅した。


 帰り道で格闘技のライバルが襲いかかってきたので一撃で沈めた。


 


 昨日は格闘技の世界に関わり過ぎたせいか疲れていて教室で居眠りをしてしまった。


 目を覚ますと教室は真っ暗、そこで俺は気がついた。


 もう夜だと。


 夜の学校は不思議な雰囲気を漂わせていて俺も少し緊張した。


 俺は襲い来る怪異をなぎ倒し学校に隠された忌まわしい事実を突き止めあの世の入口に立った。


 亡者さんと一緒に十王を巡り閻魔王に会った所で本来の目的を思い出し現世に戻ることにした。


「貴様の罪を告白せよ」


 閻魔王の問に俺はこう返した。


「俺は罪な男さ」


 すまない、俺に魅了された女性達。俺が思っているのはヨルさんだけなんだ。


「……地獄に行け」


 地獄の鬼さんと談笑していると黒い羽根の人が迎えに来てくれた。


 事情を説明しているときに釜茹にされている親父を見つけたので拾っておいた。


 見かけないと思ったらこんなとこにいたのか。


 黒い羽根の人の背に乗り俺は現世に戻った。


 気がつくと校舎の入口。学校と地獄はこんなに近いものだったのか。もっといい場所になるように生徒会長のノリカにお願いしておこう。


 試験官のシオンから会いたいと連絡が来ていたので車で迎えに来てもらってディナーをしてから帰宅した。




 俺は悩んだ末に気がついた。


 ヨルさんに謝るべきだと。


 俺はヨルさんに謝り彼女の友達とも仲良くなり皆で遊園地に行くことになった。


 さあ入園というところで俺は気がついた。


 財布を忘れたと。


 俺は遊園地の職員さんに事情を説明して着ぐるみのバイトとして遊園地に入り運営会社の役員となった。


 他社からの買収対応の会議中に本来の目的を思い出して俺が買収した。


 会社運営なんて出来ないのでシズカさんにお願いしておいた。


 すまない、面倒事を押し付けてしまって。今度埋め合わせはするから。


 シズカさんからお小遣いを貰って俺はヨルさん達に合流した。


 アトラクションを回っているとき彼女の声が聞こえた。


 イベント司会のイツキ。


 彼女は俺が着ぐるみバイトをしていたときの同僚だ。


「みんな〜、こんにちは〜」

「こんにちは〜」

「声が小さいな〜、もう一回こんにちは〜」

「こんにちは〜」


 俺は彼女の声を聞きながらその場を後にした。


 すまない、もうそのノリを純粋に楽しめる年齢ではないようだ。


 いつか俺に子どもができたらまた会いに来るよ。


 ヨルさん達と遊園地を満喫した俺は帰宅しようとした。そこでたまたま来ていた鏡子と会ったので一緒に観覧車に乗ってから帰宅した。




 格闘技の闇の王を倒し地獄から蘇り遊園地を楽しんだ俺はヨルさんに会いに行くことにした。


 ヨルさんの家で彼女の母親とお茶をしながら待っていると彼女の父親が帰宅した。


 お父さんにご挨拶というやつか緊張するな。


 俺の前に彼女の父親が座り俺の横に彼女の母親が座った。


「娘とはどういう関係だ?」


 彼女の父親の問に俺はこう答えた。


「関係ないね」


 彼女にはまだ認められていないのだからな。


 彼女の父親と彼女の魅力について話しているとヨルさんが帰宅した。


 彼女の父親が叫ぶ。


「ヨル! こいつと付き合っているのか!? 不純異性交遊は許さんぞ!」


「気持ち悪い」


 ヨルさんの一言で彼女の父親は崩れ落ちた。


「ヨルさ」


「あんた」


 俺の言葉をヨルさんが遮った。


「この間遊園地に行ったとき別の女の子と観覧車に乗ってたよね。気持ち悪い」


 そう言ってヨルさんは部屋に入ってしまった。


 俺は震えていた。


 彼女が俺のことを見ていてくれた。


 泣いている彼女の父親の横で俺は嬉しさで涙を流した。


 やっぱり僕の初恋は最高だ!

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