愛情

鈴音

愛情

 デスゲーム。多くの人が強制的に参加させられ、生き残りをかけて戦うゲーム。生き残り条件は日によって変わる。その日の条件は「大切な人を殺めること。」

 男は迷いながら彷徨っていた。そんなことなんて出来ない。誰一人として。今日で死んでも良かった。

 そんな時、ばったり親友と出会ってしまった。しばらく沈黙が流れる。すると、親友が目を閉じる。

「良いよ。」

 と。男は号泣してしまった。それでも動かない親友。ゆっくりと引き金を引く。でも、ガタガタと震えて撃てない。いや、震えだけではない。どうしても撃てなかった。想像しただけで耐えられない。

 すると目の前の親友は自らのこめかみに銃を当てて引き金を引く。その手はガタガタと震えている。

「逃げて。じゃあね。」

 止める声を無視して、パンと乾いた音が響いた。親友は床に倒れる。床に赤い液体がじわりじわりと広がっていく。男は揺さぶるが、びくともしない。呆然とした。

 それと同時に強い吐き気が込み上げてきた。そして、そのまま御手洗に駆け込んでいく。やがて御手洗から銃声が響き渡った。

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愛情 鈴音 @suzune_arashi

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