第7話 パーティ

 今日は金曜日。明日は休み。今週も頑張った。

 頑張った自分へ最近始めたこと、お疲れパーティ。

 週末の仕事帰りに好きな飲み物、食べ物を決められた予算で買い、自宅で開く小規模なものだ。

 パーティというからには、勿論一人ではない。

 都合の付く友人や同僚を誘い、たまに店を予約する時もある。

 飲み会と言われるが、ここからが違う。

 自宅や他の人面子の家に行く場合は、話題の映画やドラマ、アニメの動画も流す。

 広い部屋なら、そのままテンションの上がった奴が踊り出したりもする。


「ま、今日来るのは、友人一名だけなんだけどな」


 独り言を呟いた瞬間、上着の内ポケットに入れていたスマホが震える。

 画面を確認すれば今日来る友人からだ。


「おぅ、どした?」


 通話に出た途端、震えている友人の声に動揺した。

 何事だ、と思いながら理由を尋ねてみた。


「おい、どうした? 今何処だ!」

『お前、この寒空の下で何時間も待たせんなよぉ』


 理由を聞き、恐る恐る腕時計を確認すれば、伝えた時間を大幅に過ぎていた。

 コンビニやスーパーを何軒かはしごしている内に時間が思ったよりかかってしまったようだ。

 迂闊だった!


「す、すまん! もうすぐ帰るからな!」

『あとで、……おぼえておけよ』


 地の底から這うような友人の声に背筋が凍るのを感じながら、とにかく全速力で帰路を走った。

 お詫びに友人の好きなおつまみをたくさん作って食べさせてやろう。

 あと、先に風呂にも入れないとな。

 さっきまでの疲労感はどこへ行ったのか。それも忘れるくらい焦っていた。

 

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