走馬灯

鈴音

走馬灯

 ぼんやりとした視界の中に一人の人間が映る。目のピントが合わない。頭がぼーっとする。

 視界に映るのは知っている人間。もしかしたら走馬灯なのかもしれない。

 急に強烈な刺激が全身に広がった。そういえば、死ぬ前はとても気持ちが良いと聞いたことがある。

 どんどんピントが目の前の人間に合っていく。ああ、看取ってくれるのか。そう思った。

 意志とは反対に大きな声が出る。まだ生きようとしているのだ。我ながらしぶといと思った。

 隣にある機械の音がずっと耳に響いている。目の前の人間が笑みを浮かべた。その瞬間に視界が暗転した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

走馬灯 鈴音 @suzune_arashi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説