重厚な異世界ファンタジーの書き手である、羅翕(ロシー)さんの短編集です。
3編入っており、最初の二つは、5人の魔術師が力を授けた男の物語です。1話めは、その力を正しく使えずに滅びていく男が、2話めは、志半ばで運命を静かに受け入れる様子が、哀れを誘います。
3話めは、腐敗していく信徒に絶望して流浪の身になる女神のお話です。
ロシーさんのお話には、どれも、人間の清い心、その反対にある醜い心、そしてそれが時に入れ替わり、時に同居する、という普遍的な人の業が描かれています。
異世界ファンタジーでありながら、「諸行無常」や「盛者必衰」と言った、歴史小説のような雰囲気の色濃い、純文学的な作品であると思います。
どれもよい作品ですが、とても重厚なので、心が健康なときにどうぞw