第三章

三章 プロローグ

 その魔女には、占いしかなかった。


愛してくれる親など居ない。


手をひいてくれる友など居ない。


お呪いなど扱えない。


お守りなど作れない。


傷病など治せない。


商売できる知恵などない。


戦える力などない。


仕える主人も、雇える従者もない。



 その魔女には、占いしかなかった。


ある日、そんな魔女に主人ができた。


共に主人を守る仲間ができた。


主人のことを脅かす敵ができた。



 その魔女にも、占い以外のものが得られた。


主人が、占い以外のものを与えてくれた。



だから、魔女は誓う。


占い以外を与えられた恩は、占いをもって報いようと。



占いの、持ちうる可能性全てをもって報いようと。

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