第二章

二章 プロローグ

 悲鳴が聞こえる。


血と煙の臭いに混じって、聞き慣れた人々の声が悲鳴に変わっていく。


今朝飲み水を持ってきてくれた侍女のパメラ、

先週衛兵になったばかりのジョン、

ドレスの行商に来ていたオレーヌさん、

幾何学を教えてくれたコルダルス先生……


みんな、みんな殺された。


兵士も使用人も関係なく。


「生きろレイラ!王国を守れ!己の身を守れ!王家の血を守れ!何を犠牲にしても、お前は生き延びるのだ!」


 病床から響く父の声が、脳裏に焼きついている。


あの瞬間、私の生きる意味は定まった。

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