第5話
狼や犬や鳥たちと一緒に現れたのは、緩やかなウェーブの金髪に、白い巻きスカートを履いている少女、トモ。まだ、9才の女の子だ。だがトモは侮るなかれ、世界に僅かに残る魔女のうちの一人。トモは生れつき盲目で、光さえも何も見えない。
でも盲目の魔女は、希少だといわれている。盲目だからこそ、その分魔力が他の魔女より遥かに強い。魔力が強いため、体の一部分が欠けて生まれてしまうのだとか。それが、神との約束だという言い伝えもあるが、本当かどうかは分からない。盲目の強力な魔女のトモは、時期王室御用達の魔女になるのも時間の問題だ。俺は、そういうのに興味がないので、よく分からない。でも、トモは子供のくせに魔力が確かに強いし、誰よりしっかりしている。中身は、俺よりも大人なんだと思えるくらいだ。俺のことを子供扱いしてくるから、そこはムカつくけど。でもそういうところも、可愛い可愛い女の子だ。
コールはトモに駆け寄ると、トモはその足音で誰だか気付いて嬉しそうに微笑んで顔を上げた。
「コール。この子たちがおいしい林檎の木を教えてくれたの。だから、見て!こんなにたくさん…」
と無邪気に笑ってトモは巻きスカートの裾をつまんで広げると、スカートには溢れんばかりの果物が積まれていて、コールはトモの頭を優しく撫でた。
「自然や動物がそこにある限り、トモは死ぬことはないだろうけど…遠くに行かないでくれよ」
とコールが心配して言うと、トモは肩をすくめた。
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