雨に象徴されるかのように、彼にとってこの世界は、冷たく己を打ちつづける獄。そこから飛び立ち、導いてくれるがごとくに空へとはばたいた姉も、さらなる世の冷たさに切り裂かれ、美しいその姿のままに地に落ちた。打たれ続けることに耐えがたく、飛びたつことも最早かなわないのなら、雨のなかにうずくまって咲く花となって消える他はない。青い狂気すら帯びながら、紫陽花は哀しくたたずむ。
守りたい姉を守ることもできず、理不尽な理由で姉を殺された弟。花の美しさと、弟のやり場のない気持ちの対比が切なさを倍増しております。