投影

@abcdakb0605

第1話

深夜0時、風呂から出たらスマホが震えた。

知らないID、知らない美女のアイコン。

開いてみるとこんな文面だった。


「お疲れ様です。村上さん。」


俺は村上じゃねえぞ!思わずツッコミをいれてしまった。俺の苗字は中村。確かに村が一字使われているが、間違われても仕方ない。きっと間違いのLINEなのだろう。そう思い、俺はすぐにそのLINEに返信を返した。

「初めまして。でも、送り先が間違っていますよ。俺の名前は中村です笑」

すると、すぐにこんな文面が送られて来た。「すいません、間違えました!中村さんでしたか!てっきり、村上さんだと思っていました!」

そうだろう。やはり人違いでLINEを送ってしまったのだ。しばらくすると、更に次の文面も送られて来た。

「間違えてしまったのも何かのご縁。これを機に友達になりませんか?」


えっ……、突然の事に頭が静止してしまった。ハハーン、これはきっと勧誘や悪徳業者からの送り主に違いない。よく居るんだよな、こうやって恋人気分を味わせつつ、良い雰囲気になったところで勧誘アドレスにアクセスさせて悪徳サイトに繋ごうとする奴が。ふふん、面白い!ちょっと話に乗ってやろうかな。いざとなったら、勧誘アドレスを添付した時に相手のLINEを即ブロック・消去してしまえばいいのだから!


それから俺は、その見知らぬユーザーとLINEを開始した。アイコンは今まで見た事もない女性の自撮り写真だった。芸能人、モデル、女優ではないようだが、見るからに美人だ。こんな美人がこの世の中にいるとは、考えられないな。


「お近づきの印としてまず、お互いに自己紹介しませんか?私の名前は、「かな」と言います。父親が日本人で母親が台湾人、私はハーフです。父親は私が小さい頃に亡くなり、母は女手一つで私を育ててくれました。今私は日本には居ません。母の生まれ故郷の台湾で私と一緒に暮らしています。仕事は、美容師をしています。台湾で母が美容院を経営していて一緒に働いています。来月には日本へ戻り、父親の故郷の神奈川で永住しようと考えています。それが、昔から母の願いなのです。私は母の願いを叶えたい!尊重したい!だから、日本で美容院を開く資金が…

私は、あなたの事を沢山知りたい!教えてほしいです!」そんな文面のLINEが送られて来た。


え………俺は、あまりの相手からの熱量に圧倒されてしまった。気づけば放心状態で固まったまま、30分も経過していた。初めての知らない相手にここまで自分の経歴をベラベラと話す事があるだろうか?俺もこれだけの熱量を相手に話さなきゃいけないのか⁈そんな事はない。俺の感覚が違う?相手の感覚が違う?俺の価値観が間違ってる?ハーフだから?国籍が違うから?いやいや、嘘に決まっている。まだまだ、慎重に行動しなければいけない。

「俺の名前は『祐希』ゆうきです。どうぞよろしく。岐阜に住んでいます。田舎だからこんな美人からのLINEが夢みたいで…仕事は、清掃員してます。」

俺は、簡単に自己紹介をして済ませた。すると、

「ゆうきさん!良いお名前ですね!ちなみにお歳はいくつなんですか?」

良い返しだ。HOW OLD ARE YOU?っ、てか。笑

「39です。40手前ですよ!三十路をこえて、もう四十路。ハッハッハ」

半分ふざけて答えてみた。

「あなたは良い人ですね!あなたからは優しさが感じられる!歳を気にする事はありません。毎日をどう過ごすか。1日1日を悔い無く過ごすことが出来るかが重要なのです。」

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