第28話 空戦
飛行船に向かって【
騎士団員の1人が叫ぶ!!
「隊長!!このままでは追いつかれます!!」
「クッ...やむを得ない...ジルを甲板へ!!速度を上げるぞ!!ジラとジリの2頭に引っ張ってもらう!!」
ジラはジルのお父さん。ジリはお母さんである。
速度を上げると、ジルがついてこれないため、甲板に降りてもらう必要がある。
隊長がジルへ呼びかける!!
「ジル!甲板へ来るんだ!!」
「キュル!?」
「早く!!」
「キュルル〜!!」
ジルは驚いた表情で甲板に降りてきた!!
「キュル〜!!」
心配そうに両親を見つめるジル...
クライスは思わず、ジルに駆け寄った!!
「ジル...お疲れ様!!」
「キュル!!キュルル〜♡」
ジルはクライスの姿を見て平常心を取り戻したようだった。
「よし!速度をあげるぞ!!操縦室...応答してくれ!!」
「こちら操縦室!!どうぞ!!」
「ジルを甲板に降ろした。速度を上げてくれ!!」
「イエッサー!!よし!!いくぞ!!頑張ってくれよ!!ジラ、ジリ!!」
「ギャオォォォォォォン!!」
ジラとジリが雄叫びを上げると、どんどんと速度が上がっていく!!
しかし、飛行船を引いたままでは
じわじわと【
「隊長!!距離が詰まってきています!!」
「クソッ...!!」
「ギィヤオォォォォォォォォォ!!」
【
機体の左後方へ、どんどんと近づいてくる!!
フレイアは、その数の多さに驚きを隠せなかった!!
「なんて数だ...」
何事もなく、ただ通り過ぎてくれ...
そう誰もが願っていた。
しかし、現実は甘くは無かった!!
「ギィヤオォォォォォォォォォ!!」
【
ドォーン!!ドォーン!!
結界が機体を守ってくれている!!しかし...
「これ以上、この攻撃を喰らい続けたら結界が保たないぞ...!!」
ピシッ...ピシピシッ...!!
結界にヒビが入っていく!!
緊急事態に隊長は団員に指令を出す!!
「全隊!!構えー!!」
騎士団員達は一斉に弓矢を【
「ギィヤオォォォォォォォォ!!」
ドォーンッ!!ドォーンッ!!ドォーンッ!!
ブレス攻撃が止まらない...
ピシピシッ...ピシピシピシッ!!
「結界が...!!」
パリーンッ...!!
【
その瞬間......!!
「撃てー!!」
パシュッ!!パシュッ!!パシュッ!!パシュッ!!
一斉に騎士団員が矢を放った!!
どんどん命中していく!!
だが次から次へと押し寄せてくる【
【
「ギィヤオォォォォォォ!!」
甲板に向かってブレスを吐いた!!
ドォーンッ!!
「グワァァ!!」
ブレスが直撃し、甲板は破損!!騎士団員が数名ふっ飛ばされた!!
その光景を目の当たりにしたクライスとフレイア...
2人は同時にお互いを見た!!
「フレイアさん!!」
「クライス!!」
コクンッ!!
2人は同時に相槌を打ち武器を抜いた!!
「私達も戦うぞ!!」
「いきましょう!!」
先ずはフレイア!!
「
ボォオオオオオオ!!
フレイアの剣に炎が宿る!!
「喰らえぇー!!」
フレイアは炎の弾を大きな口を開け、飛行船に突進してくる【
ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!
炎の弾が当たった【
続いてクライス!!
ファフニルから貰った【
「よし、いくぞ!!
鞘から抜くと、紅く煌めく刀身が美しい!!
「炎よ!!力を貸してくれ!!」
ボォオオオオオオッ!!
クライスはスケイルシティでのファフニルとの戦闘を思いだしていた!!
飛ぶ斬撃...
ファフニルの必殺技【
ナーガ市長が相殺したとはいえ、ものすごい威力の一撃だった!!
「今なら...できるかもしれない!!」
イメージならある!!あとは具現化させるのみ!!
「いけぇー!!」
ブゥンッ!!
クライスは【
メラメラと燃える斬撃が【
バァーンッ!!
「ギィヤオォォォォォォッ!!」
斬撃はものすごい勢いで【
「できた...俺にも飛ぶ斬撃が!!」
クライスは自分自身の放った技の威力に驚いていた。
「もっとだ...もっと広範囲に攻撃を...!!」
クライスは自分の斬撃を更に昇華させるべく、イメージを膨らませた!!
「ウォオオオッ!!」
ボォオオオオオオオオオッ!!
さらに炎が激しく燃え上がる!!
「いくぞ!!喰らえぇー!!【
ゴォォォオッ!!
激しい炎の斬撃が【
その一撃は、まるで炎を纏った龍が天に駆けていく姿のようであった!!
ドゴォォォォォォンッ!!
【
「ヨシッ!!やったぜ!!」
クライスやフレイア、騎士団員達の奮闘もあり、【
「だいぶ、数も減ったな...ん?なんだ?」
フレイアは【
「様子が変だぞ?さっきまで無造作に暴れていたのに...」
【
「諦めたのか?」
甲板にいる全員が、距離を取っていく【
これで、終わったのか?
全員がそう思った、その時...!!
フレイアは禍々しい魔力を感じ取った!!
「!?何か...来る...!!」
遠くから、【
「グギャアアアアアアアアッ!!」
「なんだ!?」
異変に気づき、隊長が指示をだす!!
「何か来るぞ!!全隊構えー!!」
ザッ!!
騎士団員達は弓矢を構え、声が聞こえる方向を睨んだ!!
クライスとフレイアも、ものすごく張り詰めた緊張感の中、武器を構えた...
分厚い雲を切り裂き、その声の主は、ついに姿を現した!!
「な...なんだと...!?」
その姿を見た隊長は驚きを隠せなかった...
「【
他の【
「デ、デカい.....」
クライスは、その魔物の大きさに言葉を失った...
無理もない。【
【
【
「いかん!!ジラとジリを狙っている!!全隊、攻撃開始ー!!」
ジラ達を守るため、騎士団員達は必死に矢を放つ!!
しかし、【
【
ズドォォォンッ!!
ザシュッ!!
ジラの左側の翼にかすった!!
「ギャオォォォォンッ!!」
ジラが【
しかし、そんな事はお構い無しに、ブレス攻撃を続けようとする【
「コイツッ!!喰らえぇー!!【
「燃えろ!!我が炎よ!!いけぇー!!」
クライスとフレイアは同時攻撃を仕掛けた!!
ゴォオオオオオオッ!!
2人の強烈な攻撃が【
流石に無視ができなかったのか、ジラに向かって放とうとしていたブレスを2人の攻撃にぶつけてきた!!
ズドオォォォォォンッ!!
空中でぶつかり合い相殺された!!
発生した衝撃波が飛行船を揺らし、全員、その場に立っていられなかった!!
「うわぁっ!!」
「クッ...ダメか...」
クライス達が甲板でバランスを崩している隙に、【
チュドォォォォン!!
「ギャオォォォォンッ!!」
ブレスはジラの左翼に直撃し穴を開けた!!
「しまった!!」
苦しそうにするジラ...!!
しかしジラは、飛ぶのを止めない!!
一緒懸命、穴の開いた翼を羽ばたかしている!!
己のプライドにかけて、墜落なんぞ、してたまるか!!
絶対に皆を目的地まで届ける!!
その思いが伝わってくる!!
そんな父の姿を見たジルは、近くにいたクライスの服を口でつまんで引っ張った!!
「ジル!!危ないから下がって!!」
「キュルー!!キュルルー!!」
「ジル?」
ジルは必死に何かを伝えたがっている!!
「キュルルー!!キュルルー!!」
クライスはジルの思いがこもった魔力を感じ取った!!
『お父さん...お母さん...助けたい...クライス...背中...乗る』
「ジル...お前...」
「キュル!!」
ジルの目は真剣だ...!!
「.......わかった!!行こう!!」
クライスはジルの背中に乗った!!
バサッ!!
ジルは翼を思いきり広げ...
「キュルルー!!」
空へと飛びたった!!
「な...!!あれはクライスとジル??」
フレイアは2人の行動に驚きながらも、すぐに気持ちを切り替えた!!
「援護は任せろ!!行けー!!2人とも!!」
騎士団員達も2人に気づき、再び立ち上がる!!
「2人を援護するぞ!!全隊!!攻撃開始ー!!」
「ウオオオッ!!」
フレイアや騎士団員達の攻撃のおかげで【
「グギャアアアアアアアアッ!!」
怒りのあまり、雄叫びを上げる!!
「よし!!ジル、同時攻撃だ!!」
「キュルルー!!」
「喰らえ!!【
「キュルーッ!!」
クライスの斬撃とジルのブレス攻撃!!
ズドォォォンッ!!
【
しかし...
「効いてない?」
硬い鱗に覆われた翼でガードされてしまった!!
「グギャアアアアアアアアッ!!」
【
「しまった!!」
ドゴンッ!!
不意を突かれた尻尾攻撃にジルとクライスは弾き飛ばされてしまった!!
「うわぁー!!」
クライスはジルの背中から、空中に放り出されてしまった!!
「クライスー!!」
フレイアは落下していくクライスに甲板から手を伸ばしたが間に合う訳もなく...
クライスは雲の中へと消えていった...
「ああ、そんな...クライス...」
こんな高さから落ちたら絶対に助からない...
「...貴様...よくもクライスをー!!」
フレイアは【
だが、決定打に欠ける。
もっと至近距離で技を撃ち込まないと勝てない...
「ハァ..ハァ...ハァ...」
連続で技を放ったため、疲労も蓄積されていく!!
「このままでは...落とされる...」
フレイアが、もう1度攻撃をしようとした、その時...!!
【
しかも背中にはクライスが乗っている!!
ジルは落下していくクライスを、全速力で追いかけて救助していたのだ!!
ジルも怪我を負っていたが、大好きなクライスを守るため意地で飛んでいた。
「いくぞ、ジル!!もっと高く!!」
「キュルー!!」
ジルは、ものすごい速さで上昇していく!!
「もっと高く!!もっと!!」
かなりの高度まできた...
「今だ!!アイツの頭に向かって突っ込めー!!」
「キュルー!!」
【
王ゆえの奢りなのか。
自分が負けるわけないと思っていた。
まさか、さっき尻尾で薙ぎ払った奴らが生きているとは夢にも思わなかった!!
「ウォオオオッ!!今だジル!!俺を飛ばせー!!」
「キュルッ!!」
ジルは身体をひねって、クライスを弾丸の様に飛ばした!!
クライスは落下のエネルギーを利用して、【
ザクッ!!
「グギャオオオオオオン!?」
気づいた時には、もう遅い!!
「燃えろー!!!」
ボンッ!!ボォオオオオオオオオオッ!!
「ギャオォォォォォォォォ!!」
【
絶命した王は、落下を始める。
クライスは刀を頭から抜き、飛び降りた!!
「キュルル〜♡」
ジルがしっかりとクライスを背中でキャッチした。
「ありがとう、ジル」
「キュルッ♡」
王が倒され、【
2人は飛行船の甲板に着陸した。
「クライスッ!!」
ガバッ!!
「ちょ、ちょちょちょ...フ、フレイアさん!?」
フレイアは勢い良くクライスに抱きついた。
「心配かけて...この馬鹿者...」
「すみません、フレイアさん」
「キュル〜!!!」
良い雰囲気になっている2人を見て、嫉妬したジルが割り込んできた!!
「わわ!!ちょっとジル!!」
ベロベロッ!!ベロベロッ!!
ジルは思いっきり、クライスの顔を舐めまくった。
「わ〜、止めてくれ〜!!ジル〜!!」
「キュル〜♡」
そんな光景を見て、甲板は暖かい笑い声に包まれたのであった。
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