大通りを抜けた先に、小さな横断歩道が
ある。そこは車の量も多い訳ではないが、
必要以上に事故への
注意喚起がなされている。
夕暮れの空に鳴り響く『とおりゃんせ』の
物悲しいメロディ。物言わぬ路傍の
お地蔵様。ひっそりとした供花が、その
場所を物語る。
横断歩道には少女の幽霊が出る。車道へと
手招きをする。
不穏な噂のあるその場所を興味本意で
利用する主人公の目の前に、いや、背後に
現れた モノ とは。
兎に角、物悲しい夕暮れの中で無慈悲にも
行き交う車と無機質で空恐ろしい
電子音が、否応無しに焦り焦りとした
緊張感をもたらして来る。
怖い、でも…気になる。そんな心の隙間に
響く怪異譚である。